ヒットメイカーによる正統派ラブストーリー「正負之間～Plus & Minus」
2組のカップルの恋模様を描く本作は、今回紹介する3作品のなかではラブストーリー要素の濃いドラマだ。2021年の大人気台湾ドラマ『Be Loved in House 約・定～I Do』の制作チームが再結集して制作。幼なじみ同士の弁護士2人と、同じビルに入っている別の店で働く2人を描き、胸のときめきを与えてくれる。
幼い頃からの大親友で、今も同じ弁護士事務所に勤めているチェン・ゾーショウとフー・リーゴン。明るくて人に好かれるチェン・ゾーショウだが、幼少時に母親に捨てられたトラウマからか独身を貫こうと決めていた。真面目で固い性格のフー・リーゴンは18歳の時に起きたある出来事をきっかけに、チェン・ゾーショウへの秘めた想いを隠し持っている。
一方、街のクリーニング店オーナー、ジエン・インゾーは下の階のバーの喧騒が悩みの種となっている。あるときジエン・インゾーの店の前にバーの客のゴミまで散乱していて、今まで溜めていた不満をジエン・インゾーはバーのオーナーに爆発させてしまう。バーの人気バーテンダーの加藤勇気は間に入って仲裁し、そのことがきっかけとなって徐々に距離が縮まっていく。
親友だからこそ伝えられずにいる片思いは、胸をキュッと締め付ける切なさがある。側にいる者の片思いは何度も描かれてきているものではあるが、それだけ王道であり、このシチュエーションが好きな人も多いということでもある。また、もう一方のカップルである、違う世界に生きる者たちがひょんなことで出会って恋に落ちるのも王道で、このパターンも人気が高いと言える。正統派のラブストーリーで思いっきり萌えたい方におすすめしたいのが本作だ。
台湾ドラマに見る、真逆のふたりが“化学反応を起こす関係性”
今回紹介した3作に共通しているのは、登場するメインキャラクターの2人が、正反対の性格をしているところ。「オレん家のフロ事情～人魚と過ごした49日」のジャオ・ロンジエは自分に自身がなくてはっきりと物が言えないタイプだが、人魚のリー・レンユーは堂々としていて俺様気質。「僕と幽霊が家族になった件(Marry My Dead Body)」のウー・ミンハンはちょっとデリカシーに欠ける無骨な警察官で、マオ・バンユーのほうは感受性豊かで繊細な青年と言える。「正負之間～Plus & Minus」の2人は幼なじみの親友ながら一方は外交的な陽キャで、片方は謹厳実直で言ってしまえば面白みはない男だ。
正反対だから当然反発も起こるし、相手のことが理解できない場面も出てくる。しかし、理解できないから相手のことが気になってしまうし、自分にない部分を持っているからそこを埋めてくれる大切な存在となるのだ。彼らの反発し合いつつも知らず知らずのうちに惹かれ合っていく化学反応が、見ている者の胸をときめかせ、台湾ドラマの魅力となっているのだろう。
◆構成・文＝牧島史佳
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
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