品川ヒロシが監督・脚本を務め、自身の中学時代からの友人で「ドロップ」にも登場する井口達也の青年時代を描いた実録不良マンガ「OUT」の実写映画化が11月17日に公開される。本作で水上恒司が演じるのは、暴走族「斬人(キリヒト)」のナンバー2である副総長・安倍要。出演が決まったときの感想や撮影秘話、“岡田健史”から改名して1年が過ぎた心境についてじっくりと語ってもらった。
青春みたいなことはしてこなかった学生時代
――まず、本作のオファーを受けたときはいかがでしたか?
“青春を取り戻せるな”と思いました。僕は小学校から11年ほど野球をやっていて、それはそれでもちろん得るものが多くあったんですけど、真剣だったがゆえに常に気を張っていたというか、あまり“遊び”のない期間だったんですね。それこそ今作のような“思春期”“青春”みたいなことはしてこなくて。なので、うれしい気持ちが大きかったです。
――水上さんが演じるヤンキーの安倍要は、リーゼントのヒゲ面デカ男。登場シーンからかなりインパクトがありますよね。最初は水上さんだと分からない人も多いのでは…と思います。
青春を取り戻すにしても“このビジュアルかぁ”と僕もちょっと思いました(笑)。そんな風に見た目はかなりワイルドですけど、要はキャラクターがしっかりあって、ある意味、すごくオイシイ役だなとも。自分が変に力を入れなくても物語が進む中で勝手にキャラクターが立っていくというんですかね。そういう他力本願みたいな部分も正直ありつつ、でもやっぱり何かしたくなって、結果的にはいろいろ持ち込ませてもらった感じです。
――大きいのはやはり体作りの部分かと思います。撮影前から品川ヒロシ監督や主演の倉悠貴さんらとジムに通い、武闘派の要を演じるための肉体美を完成させたそうですね。
筋トレは2日やって1日休むというサイクルでずっと続けていました。アクション練習もスタントチームの方の時間が許す限り入れていただいて。そのときできる最大限の力でいつも挑みましたが、もっと時間をかけられるものならやりたかったです。今回、アクションが特に大変で。美しくしなやかに、鮮やかで強い…みたいなさまざまな要素を込めるのが難しいんですよ。本当に総合芸術なんだなと思いましたね。
演じる要の芯は大切にしていた
――要の中身に関しては、どんなことを意識して演じましたか?
僕の中で“裏社会不適合者”というワードを掲げていて。要って、彼が今いる場所に染まるにはあまりにも“正しい”んです。だからこそ言ってることが主人公の達也(倉)に刺さるんだと思うし。ケンカや揉め事はしょっちゅうだけど、仲間を大切にして、将来のことも実は結構考えているんだろうなという彼の芯みたいな部分は大切にしていました。
――彼を形成する要素や背景として。
そうですね。要として生きるにあたり、より自由に体を動かせるような+αを自分で加えた感じ。そのほうが僕も楽しくできますし。要と周りのヤンキーたちのベクトルがちょっと違って見えるのは、そういう役作りも功を奏したのかなと思います。