「スタートアップ」「二十五、二十一」…共感集める演技
2018年には、超大作時代劇「安市城 グレート・バトル」でスクリーンデビュー。この作品で演じた学徒兵サムルが高い評価を受け、「アジアスターアワード ライジングスター賞」「青龍映画賞 新人男優賞」などこの年の映画賞新人賞を総なめにすると、これ以降はより複雑なバックグラウンドを持つキャラクターを演じて人気を不動のものにしていった。
青春スターのカラッとした明るさだけでなく、見る者を引きつける寂しげな佇まい、厳しい現実も飲み込んで前を向く芯の強さが演技に印象深く現れ始めたのも、この頃から。ドラマ「まぶしくてー私たちの輝く時間ー」(2019年)では、暴力的な父親と自分を捨てた母親を憎んで生きてきた青年ジュナのナイーブな心を繊細に表現。彼のはかなく切なげな表情に引き込まれ、多くの視聴者が涙した。
「まぶしくて―」での演技が評価され、主演に抜てきされた作品が「スタートアップ:夢の扉」(2020年)。ジュヒョクが演じたのは、髪はボサボサで恋愛経験ナシの理系男子ドサン。女性主人公・ダルミ(ぺ・スジ)との“うそから始まった関係”で葛藤し、どうしようもなく涙を流す不器用なドサンの姿はリアルかつ切実で、この作品で多くの共感を集めたジュヒョクは一気に人気俳優へとスターの階段を駆け上った。
韓国が不況に見舞われた1998年を舞台に描かれたドラマ「二十五、二十一」では、裕福な家庭から一転、父の会社の倒産と一家離散、大学中退…と、どん底にたたき落される青年・イジンを演じた。一見穏やかな表情の下に、幸せな暮らしも夢も失った悔しさを隠して生きる25歳のイジン。そして、どんな状況に置かれても自分を信じて夢を追い掛ける21歳のヒロイン・ヒド(キム・テリ)。互いに影響し合い、成長していく2人の“ケミ”(相性の良さ)も話題を呼んだ。
ヴィジランテの“正義”とは?ジュヒョクが挑む新境地
爽やかなルックスに加え、若者のモヤモヤした心情を映す繊細で奥行きある演技で出演作ごとに爪痕を残してきたジュヒョクが今回「ヴィジランテ」で挑んでいるのは、善良な仮面の下に本性を隠した“ダークヒーロー”。
公開されている予告編では、実直そうな警察官の顔と、「おまえを釈放した法を恨め。俺が地獄を見せてやる」と声を絞り出す“ヴィジランテ”、全く違う2人のジヨンが確認できる。ヴィジランテとなったジヨンが追う“正義”とは何なのか。激しいアクションにも初挑戦したジュヒョクの見せる新たな境地に興味は尽きない。
「ヴィジランテ」は、11月8日(水)より毎週水曜に2話ずつディズニープラス「スター」で独占配信(全8話)。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
ポニーキャニオン