航のお得意の毒舌がさく裂する
小日向が取り寄せた料亭の高級おせちに賢二はテンションをあげ、史朗は黒豆と角煮を差し入れる。4人で乾杯して新年の食事会は和やかに始まるが、史朗と料亭の黒豆を航が食べ比べると違いがないと言い始め、微妙な空気に。小日向は「毎年違うところに頼んでも中身はだいたい同じ。でも、縁起物だからいいんですよ」と苦笑いする。
すると史朗は「毎年っていうと、小日向さんもご実家には帰らないんですか?」と聞く。芸能事務所に務める小日向は年末年始は仕事で忙しく、実家に帰らないのが普通になったと言い、「逆にありがたかったですね。帰省したときの結婚しないのかっていう、お決まりのやり取りもしないで済んだし」と続ける。
そこから兄弟の話になり、後を継いだり孫を作ってくれる兄弟がいるとありがたいと言い合う。史朗が一人っ子だったことを思い出してみな黙り込むと、航が「いいじゃない、過保護な親から超期待されて育って、ゲイバレしてから拗れに拗れた一人っ子もなんとかこうして生きてんじゃん」とズバリと言う。
さらに航はこの正月パーティ恒例にしないかと提案し、賢二が「いいの!?」と喜ぶが、「どうせみんな家族とは縁の薄いゲイ同士なんだし」と言って場を静まり返らせるのだった。
家族のことでそれぞれ複雑な思いを抱えていることが知れ、家族の問題に関しては開き直っている航が一番頼もしいように思えてしまった。SNSでも「ジルベール、最高」「ジルベールの1ミリも空気読まないとこも相変わらず」「ジルベールの言う通り!」と話題となった。
◆構成・文=牧島史佳