土岐は「ゴール、しようぜ」と真っすぐ佐原を見つめる
この「借り物競争」では、“好きな人”というお題を引くと意中の相手に告白しなければならないというルールがあった。
体育祭当日、佐原が駐車場で警備をしていると佐原を呼ぶ声がし、見ると土岐が転んで足を痛めて這いつくばっている。起こしてやると土岐は佐原の手をしっかりと掴んで「俺と一緒に来てくれ」と言う。土岐は借り物競走の“好きな人”と書かれた紙を示し、「ゴール、しようぜ」と真っすぐに佐原を見つめる。
脳裏に苦い過去の思い出が過ぎる佐原だったが、「ゴールって！コースの外出ちゃったら失格じゃん」と吹き出して笑う。「あ！そうだった！」と顔を歪ませる土岐に、佐原は「しょうがねぇなぁ、ほれ、おぶされ。足痛いんだろ」と背中を向ける。土岐は一瞬驚くが、喜んで「失礼します」とおぶさる。佐原はおんぶで土岐を運んでやるのだった。
自分の気持に正直で純粋な土岐に佐原とともに癒やされ、佐原におんぶされて喜ぶ土岐に胸がキュンとときめいた。
◆構成・文＝牧島史佳
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