父の存在・母の死と決別して目指した共存の道。考え方の違いに翻弄されたアスランの物語
『機動戦士ガンダムSEED』における“もう1人の主人公”、アスラン・ザラ(CV.石田彰)は、ザフトに所属するコーディネイターだ。彼はナチュラルとコーディネイターが本格的に対立するきっかけとなった地球連合軍による核ミサイル発射事件、「血のバレンタイン」で母を失っている。そのような背景から、軍人となり戦うことを決意した。父パトリック・ザラはコーディネイター側の国家プラントの国防委員長を務め、婚約者のラクス・クラインは同国の最高評議会議長を務めるシーゲル・クラインの娘にあたる。士官アカデミーを首席で卒業したことを含む一連のバックグラウンドから、アスランはプラント及びザフトのエリートとして、未来を嘱望されていた。
キラとは幼年学校の頃からの幼馴染みだったが、キラが地球連合軍の一員として戦争に参加したことから、戦場ではお互いに敵として対峙していくことになる。アスランもまたキラと同様に、部隊の中心として自分が相手を討たなければならないことに責任と戸惑いを感じながら、戦争へと参加していた。しかし、アークエンジェルが地球連合軍、ザフトのどちらにも属さない第三勢力として平和の道を目指し、ラクスやウズミなどの考えに触れるうち、アスランもキラと共に歩むことを決意するのだった。
アスランにとってザフトと敵対することは、プラント国防委員長である父親と決別することを意味している。そこには、先に紹介したキラやカガリとはまた別の、親子・家族の物語が存在している。ストーリーの終盤、あくまでもナチュラルの殲滅にこだわるパトリックは最終兵器ジェネシスの発射をめぐり、部下と言い争う。お互いに譲歩できない中で先に銃を取り出したパトリックだったが、部下から予期せぬ反撃を食らってしまう。ジェネシスの発射阻止を目指すアスランが司令部にたどり着くと、そこには銃撃され瀕死の父の姿があった。ザフトを抜けて、コーディネイターとナチュラルが共存できる道を模索した息子と、最期まで「コーディネイターであること」を貫いた父。アスランの目線から見る『機動戦士ガンダムSEED』は、考え方の違いによって引き裂かれた親子の物語だ。
『SEED FREEDOM』の公開に備え、「SEEDシリーズ」を予習しておくなら今のうち
「非戦」「平和」といったメインテーマの裏に隠された、親子愛・家族愛のエピソード。その息吹は、ヒロインの一角であるフレイ・アルスターや、キラの仲間である地球連合軍のムウ・ラ・フラガにまつわるエピソードからも感じ取ることができる。また、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公シン・アスカ(CV.鈴村健一)も同様だ。
特に、キラ、アスラン、シンは『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の予告映像に登場しており、重要な役割として物語に関わってくることが予想される。ドラマが面白い作品だけに、それぞれのバックグラウンドの予習はしておきたいところ。そして、本稿にあるようなざっくりとした予備知識は、複雑な設定を持つ「SEEDシリーズ」において、ネタバレというネガティブな意味以上に、本編の理解を助けるものとなるはずだ。
SEED FREEDOM OFFICIAL
■『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』WEBザテレビジョン特集サイト
TTV SEED FREEDOM
■機動戦士ガンダムSEEDシリーズ公式サイト
SEED OFFICIAL
■ガンダム公式 YouTube チャンネル「ガンダムチャンネル」
ガンチャン