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“VR先進国” 台湾の有識者が語る、VR/XR映像分野の現在地「台湾では国がクリエイターの支援を継続」

2023/12/23 18:00

“VR先進国” 台湾の有識者に、VR/XR映像分野の取組について聞いた
“VR先進国” 台湾の有識者に、VR/XR映像分野の取組について聞いた※提供写真

新しい映画祭「Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」が11月23日~11月29日に沖縄・那覇で初開催された。日本初上陸となる映画の上映はもちろん、映画にまつわるさまざまなイベントも催され、VR機器でアジアシェアのトップかつ、世界2位のシェアを誇る台湾のメーカーHTC社のヘッドセットブランド・VIVE ORIGINALSによるVR体験上映も実施。今回は、国際映画祭でVR映像の部門があるのはまだ珍しく、世界的に見ても技術が発達しているという「VR先進国」である台湾のゲストを招いて行われた「VRフォーラム」の様子をリポートする。台湾におけるVR映像文化発展の取組や、世界的な価値、VRとXRの違いなどさまざまな話が飛び出した。

アジアでトップ、世界シェア2位のHTC社の取組


HTC社のヤン・ナイジェン氏
HTC社のヤン・ナイジェン氏※提供写真

フォーラム前半は、HTC社のヤン・ナイジェン氏が登壇し、HTC社のVR部門の取組を紹介。

HTC社によるVRヘッドセットブランド・VIVE ORIGINALS は2016年からスタート。台湾クリエイターと共にVRの映画を作ってきた中で、映画、アニメ、アーティストとコラボしたMVなどを手掛けてきた。今回の映画祭で体験上映をした作品は金馬賞(※台湾版アカデミー賞)とHTCがタイアップした作品をはじめ、過去のプログラムから抜粋したものを上映したという。

同映画祭の上映作品の説明のほか、メタバースのプラットフォーム「BEATDAY」について紹介。これまで、オンラインで、ライブを見る、カメラの視点で固定的な映像だった。それをどう発展させるかに挑戦した作品を展開している。

HTC社のVRヘッドセットブランド・「VIVE ORIGINALS」
HTC社のVRヘッドセットブランド・「VIVE ORIGINALS」


このプラットフォームでは、コンサート観賞体験を提供。3Dモーションキャプチャとゲームエンジン技術を使って自分のアバターを作ることができ、自由自在な位置でライブを見ることができる。メタバースプラットフォームの面白さは、自分が監督になれるところ。度の位置から鑑賞するのか、歌手の後ろからみることも可能。空間内で新しい友達を作りながら一緒に楽しむこともできるという。今はPCからダウンロードして楽しむものだが、近い将来はVR版を作っていくとのこと。

「技術革新のスピードが速いVR業界ですが、技術革新が大事なのではなく、もっとも大事なのは、ヒューマニティの部分だと捉えています。サイエンスはツールでしかない、この時代においてどういう新しい伝え方ができるかにチャレンジをしている」と、VR業界への挑戦する思いを明かした。

VR先進国の台湾では、政府がクリエイターを支援


ワンダー・オン(Cinema at Sea プログラム・ディレクター)
ワンダー・オン(Cinema at Sea プログラム・ディレクター)※提供写真

第二部は、同映画祭のプログラムディレクター、ワンダー・オン氏をモデレーターにしたトークイベント。高雄映画祭VR部門キュレーターであるリー・シャンチャオ氏と、VR映画『蘭嶼(らんしょ)の沖で』監督のチェン・シーアンとVR/XRの現在地について語り合った。

ワンダー・オン:もしかしたらまだVRのことが分からない方もいらっしゃると思います。
VRの最新技術がどういうものなのかを台湾からのスペシャルゲストのお2人から紹介してもらいましょう。ひとつめの質問です。台湾のVRは世界的にもトップクラスだという意見もありますが、世界ではどういった立ち位置なのでしょうか。

リー・シャンチャオ:VRが流行り出したのは2016年。それから映画祭でも紹介されてきました。VRは技術ベースの部分がある、VR作品の制作に政府も助成金を出すなど奨励している。台湾では世界的にもVRの作品作りがしやすい環境にあるということは言えると思います。

ワンダー・オン:世界でも先端技術をもっていることはわかりました。どういった課題があるのでしょうか。

リー・シャンチャオ:高雄映画祭では、2017年から政府の奨励のもとで、XRのプログラムを推し進めているが、台湾の人達がVR/XR楽しんでいるかというと、従来の映画のほうがまだ圧倒的に多い。見る側がもっと広まって体験してもらえるか大事。そのために続けていくのが大事です。

ワンダー・オン:高雄映画祭はたくさんの予算を投じています。金馬賞などでVRを取り上げたりと盛り上がりがあったが、今はそこまで力をいれていない印象です。お客さんの受けが良くないから予算を投じなくなってきているのではないでしょうか。それでも今も高雄映画祭で果敢にVRを推していくのはなぜでしょうか。


リー・シャンチャオ:映画祭は“お祭り”ですが、高雄映画祭はVRを楽しめるシアターを持っていて日常的に実践できるのが強みです。VR、XRを大規模で映画祭で展開するには、人材や設備などかなり予算がかかります。一過性の映画祭のためだけにやるのではなく、常設的にできることが、育成や準備としても大切です。なぜ、高雄映画祭がXRの専門部門をつくれるかといえば、常設して蓄積してきた環境設備があるからです。

下に続きます
■「第一回 Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」開催概要
【開催期間】 11月23日(木・祝)〜11月29日(水) ※7日間
【開催会場】 那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール等、那覇市内を中心とした会場
【実施内容】 公式コンペティション作品上映、特集上映、トークイベント他
【公式サイト】 https://www.cinema-at-sea.com/

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  • “VR先進国” 台湾の有識者に、VR/XR映像分野の取組について聞いた
  • HTC社のVRヘッドセットブランド・「VIVE ORIGINALS」
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  • ワンダー・オン(Cinema at Sea プログラム・ディレクター)
  • チェン・シーアン(『蘭嶼(らんしょ)の沖で』監督)
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