円、渾身(こんしん)の訴え「正しい警察官1人には、1000億円以上の価値がある」
須賀ら実行犯の多くが場所を移動したタイミングで、湯川はコートの中に隠し持っていた円のお守りを作動させる。呪いのような効果を発揮してゴミ箱に捨てられていたお守りだったが、なかにはGPSが。何を思ってか湯川がゴミ箱から拾い上げ、手に持っていたようだ。
GPSからの救難信号を察知して湯川を助け出した湯川班。須賀が榊山を狙うとしたら、翌日に開催される警察庁の予算会議に間違いないと当たりをつけて会場に入り込む。須賀の居場所がつかめないまま時間が過ぎ、予算会議が始まった。
万町署の統廃合に関して、意義をスピーチする榊山官房長。そして捜査AIを導入するための予算確保について、万町署で経費20%削減を達成した円に発表の指名が回ってくる。しかし、渡された表の数字が1%間違っているのを発見した円は、これ以上発表できないと断言。1%違えば、数字の差は大きなものとなるからだ。
そしてさらに、円は「万町署の統廃合」がもたらす“非経済的効果”にも言及。万町署の経費削減をやり遂げられた経緯として、「たった1人、私を理解してくれた方がいたからです」と語り始める。須賀が手ずから夜食を作ったり、備品を修理するといった貢献を列挙する円。
「まだできることがあるんじゃないか」と背中を押してもらったことを挙げ、円は「私は本当に、運が良かったと思います。須賀さんの下で働けて…」とこぼす。須賀の協力もあって1人ひとり理解してくれる人間が増え、少しずつの節約をおこなったことで予算削減に成功したのだと語る。
「正しいことをするのは、それと同じではないでしょうか。1人の警察官の小さな正義がチームを変え、所轄を変え、警察全体を変える大きな力を生む。つまり、正しい警察官1人には、1000億円以上の価値があるのです」と万町署の人材が持つ価値をアピールし、統廃合の否認を訴えた。
そして同時に榊山官房長の不正を告発したのだが、ここは惜しくも届かず。裏金が置かれていた場所に大竹浩介(JP)と月村久(前田拳太郎)が突入したのだが、ギリギリで保管場所を変えられていたのだ。倉庫はもぬけの殻で、榊山官房長の不正を示す証拠はどこにも見当たらない。
勝ち誇った顔の榊山官房長によって、議題は改めて「万町署の統廃合」に変わってしまう。
須賀の答え
予算会議ですべての議題が終わり、出席者は退室。そのなかで、榊山官房長は円に近づいて「惜しかったですね。勝者こそ正義…それが世の中です」と残してから退室しようとした。しかし、扉の前には須賀が立っており、その手に握られた銃に榊山官房長は後ずさることに。
芹沢詩織が自身の娘だったと告げる須賀。榊山官房長は「私を殺しても、何も変わりませんよ」と説得を試みるが、「これ以上、正しい人間があなたのような人間の犠牲になるのは止められる」と聞く耳を持たない。
両膝をつくように命じられた榊山官房長の前に、円が立ちふさがる。「お願いします。こんなこともうやめてください」「一さんどいてくれ。これ以上、君を傷つけたくない」と互いが譲らない問答のなか、湯川がやってくる。
「銃を捨てろ。須賀…ここまでだ」緊迫した空気のなか、須賀は「これ以上近づくな」「警告したぞ」とあくまで穏やかな声で湯川を制止。それでも銃を下ろして「頼む」と一歩踏み込んだ湯川に、「残念だ湯川」と須賀が撃った銃弾は湯川の胸元へ。目を丸くする円に、「やり遂げなきゃいけないんだ」と須賀は改めて固い決意を口にした。
だがいよいよ榊山に銃口が向けられたそのとき、湯川が咳こむ。服のなかに放り込んでいた小銭に銃弾が当たったことで、一命を取り留めたのだ。「サンキュー1円」と口にして、なんとか立ち上がった湯川。
喜びつつ驚き、円はさらに須賀へ言葉を重ねる。「須賀さん、私が必ず証明してみせます。正義はお金に勝つということを」その言葉は、「正義がお金で買われる…そんな未来がくることの方がもっと怖い」と警察の不正に立ち向かっていった娘を思い出させた。
「警察の未来を、一緒に守ってください」と訴える円の言葉に、ようやく銃を捨てる須賀。「君がいたら、安心だな。警察も」止めどない涙を拭いつつ、「逮捕されるなら君がいいな」と自ら手錠を円に渡す。涙を浮かべながら「あなたを逮捕します」と手錠をかけた円の頭を、かつて娘にそうしていたようにポンとなでる須賀。湯川にも「面倒かけたな」と謝罪の言葉を口にした須賀へ、湯川は目を合わせず、震えた声で「バカ野郎…」とだけ返すのだった。
その後、警察組織が裏金を隠していた金庫が発見され、報道されることに。しかし、5000万円しか見つからなかったという点から、湯川班の人間は恐らくトカゲの尻尾切り、本物の金庫は別にあるのかも…という推測が立てられていた。まだまだ警察組織の闇は深く、今回の事件だけで組織全体の不正をただすことは難しいようだ。
それでも万町署は残ることが決まり、湯川班は日々起きる小さな事件を追い続ける。そして経費の無駄遣いは、改めて設置された「警視庁特別会計係」所属となった円が見逃さない。「みなさん、覚悟してください。私…1円のズレも許しませんので」と宣言する円の姿を、湯川班は楽しげに見守っていた。
最終回の結末には、SNSで「演技がスゴ過ぎて、須賀さんからもらい泣きしてしまった…。まさかこのドラマで泣くことになるなんて、全然思わなかったわ」「須賀さんの気持ちも、円の気持ちもわかるからこそすごく胸が熱くなる最終回だった」「もう毎週見れないの哀しい…」「もうトクメイロスなんだけど」「1話のコミカルさから、この熱い最終回…誰が予想できただろうか」といった声が続出している。