目まぐるしい毎日だった20代
月刊ザテレビジョンの草彅剛の連載「お気楽大好き!」が2023年12月発売号で最終回を迎えた。連載期間27年の長きに渡り、草彅の20~40代を見つめてきた本連載。最終回は草彅自身が20代からの半生を振り返った。
この連載がスタートしたのは1996年の春。僕は21歳でした。当時はいい意味で尖んがっていて、良くも悪くも自分の哲学みたいなのが強くて。今みたいな多様性の時代と違って、男はこうあるべきとか、そういう形にハマりたいと思い込んでいた部分があったんだと思う。
ファッションにしてもひと通りハイブランドはトライしたし、海外の文化に憧れたり、仕事で行ったロンドンでセックスピストルズのライブを見ると、カッコ良いなって感化されたり。ピアスも好きでよくしてた。
当たり前のことだよね。若いのに落ち着いちゃったらつまんない。時代も時代で、それこそテレビの黄金期で、番組のセットチェンジとか衣装の量は今の倍以上。そこで手にするものは、後にも先にも今は考えられない量だった。
「SMAP×SMAP」の撮影なんか1時間番組を週に2日使って撮っていて、コントも1日5本とか、ビストロは必ずあって、歌も1日2本撮りとかしてたんだよね。
別日にドラマの撮影が入ってきたりすると、僕の毎日はものすごいことになっていた。でも、そこで培ったものが、今の基盤になっているんだと思う。20代でフルに詰め込んで、いっぱいいっぱいで、でも毎日楽しくて、いつも仲間がそばにいて。自分の身になってるかなんて分からないまま30代までずっと走り続けてた。
若い俳優を見て自問自答
最近20代の俳優さんたちと共演する機会が多くて、吉沢亮くんだったり、杉野遥亮くんだったり、仲野太賀くんもそうだよね。彼らを見てると本当にまじめで、一生懸命役に向き合って何かを掴もうとしてる感じが分かるなって思うんですよ。僕もそういう時期があったなって。
たとえば「TEAM」(1999年、フジテレビ系)で明日、西村(まさ彦)さんと大事なシーンがあると、どうなるのかなって緊張してたし、今の若い子たちと接していると、たぶん彼は昨日の夜から緊張してたんだろうなって感じが分かるんだよね。
そういうとき、ハッと思う。僕は“慣れ”ではないけど、そういう緊張はなくなってるんじゃないかって。初心というかね。だけど、ある一方でそういうときこそ力を抜いて、いい意味でテキトーでいい。力入れてどうするんだよ、リアルってそうじゃないでしょって、若いみんなを見て自問自答してる。お芝居って面白いね。いつも刺激がいっぱいで。
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