11月9日(木)の東京公演から始まる舞台「24番地の桜の園」。ロシアの劇作家・チェーホフの最高傑作「桜の園」に、串田和美が木内宏昌と共に新しい視点を盛り込み、演出を手掛ける。“桜の園”と呼ばれる領地に出入りする商人・ロパーヒンを高橋克典、“桜の園”の女領主・ラネーフスカヤを小林聡美が演じる。
また、ラネーフスカヤの娘・アーニャを演じるのは松井玲奈。6月~8月に上演された「ベター・ハーフ」に続けての舞台出演となる松井に話を聞いた。
「挑戦したいと思っているときに、挑戦したいと思っていた作品と出合えた」
――本作への出演オファーはいつごろあったんですか?
ことしの年明けくらいだったと思います。いろいろな舞台や映像作品に参加させていただく中で、いつか古典の作品に挑戦してみたいと思っていたときにこのお話をいただいたので、すごくうれしかったです。自分が挑戦したいと思っているときに、挑戦したいと思っていた作品と出合えたので、今からすごく楽しみです。
――原作を読んでいかがでしたか?
今まで戯曲を読むことはありましたけど、「自分がこれに出るんだ」と思って作品を読むことは初めてで。ストーリーや人間関係を理解しながら、「この中で自分はどういう意味・役割で登場するのだろう」と考えながら読むのは刺激的でした。
――アーニャを演じる上で、原作のアーニャに抱いた印象や「こんなふうにやってみよう」と考えていることはありますか?
一番若い登場人物で、過去にとらわれるよりも未来を見てどう進んでいくかをはっきりと考えている女の子なのかなという印象です。稽古が始まってみないと分からないことも多いんですけど、若さからくる可能性や、将来や未来を見据える力のあるキャラクターだと感じたので、前向きなところをしっかり出せたらいいのかなと思っています。
――ビジュアル撮影の際に、串田さんと風間杜夫さんがご一緒だったと伺ったのですが、何かお話をされましたか?
風間さんが落語をやっていらっしゃるのですが、落語に興味があるので、「どうやって覚えているんですか?」って聞いたりしていました。串田さんもその場にいらっしゃって、今回の舞台は生演奏の音楽と作っていくのですが、楽曲を何曲か3人で聞きながら、舞台で使われる音楽のお話をしていました。
――串田さんが以前のコメントで「『桜の園』にはノスタルジーがある」とおっしゃっていたのですが、“ノスタルジー”という言葉から連想するものや、日常の中で“ノスタルジー”を感じることはありますか?
どうなんでしょう、あまりないかもしれないです(笑)。人は自分の中にちょっと思い出したりとか、手放してしまうと切なくなってしまうような何かを必ず持っていると思うのですが、それは人生を重ねていくから増えていくものというか、得ていくものなのかなって思うと、まだ私の中にはそういう明確なものはないかなって思いますね。
――アーニャのように過去よりも未来という志向なんですね。
そうですね。先に先にというか、そういう感じなのかなと思います。
【東京公演】
11月9日(木)~28日(火)
Bunkamuraシアターコクーン
【松本公演】
12月2日(土)~3日(日)
まつもと市民芸術館 主ホール
【大阪公演】
12月8日(金)~10日(日)
森ノ宮ピロティホール