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傑作サスペンス「The Victims’ Game 次の被害者」が広げた台湾作品の可能性

2024/03/09 21:00

「The Victims’ Game 次の被害者」より
「The Victims’ Game 次の被害者」より

近年盛り上がりを見せている台湾作品の特集をWEBザテレビジョンでも展開。本記事では、名作の多い台湾サスペンスのなかから、Netflixオリジナルシリーズ「The Victims’ Game 次の被害者」を紹介する。たたみかけるようなストーリー展開やキャラクターの魅力はもちろん、遺体のつくりこみなどディテールにまでこだわったクオリティの高い映像が視聴者を驚かせた。中国語の映像作品としては初めてNetflixがシーズン2の制作を決めるなど、台湾映像作品の可能性を広げた本作の魅力にせまりたい。(本記事はシーズン1のネタバレを含みます)

アスペルガー症候群の鑑識官が不可解な事件の真相解明に挑む


「The Victims’ Game 次の被害者」は、アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)の鑑識官が、自分の娘が関与する連続変死事件の解明に挑むNetflixオリジナルシリーズドラマ。

主人公のファン・イーレン(ジョセフ・チャン)は、観察力や洞察力に優れていて些細な違和感などを見逃さない優秀な鑑識官だ。分析力、集中力、記憶力も抜群で、仕事に関しては周囲からも能力を認められている。だが、こだわりが強く、人との協調性にかけており、自分の感情をあらわしたり伝えたりすることが苦手なため、周囲とうまく人間関係が築けていない。

この人物造形が秀逸だ。ジョセフ・チャンの名演もあって、彼の周囲にいる人たちと同じく、序盤は視聴者側もファンにイライラさせられる。だが、事件の分析や解明は淡々となんなく行う優秀な鑑識官が、娘の心を理解し寄り添おうと懸命にもがく不器用なさまを見るうちに、いつの間にかほだされてしまうはずだ。

スクープのためならば手段を問わない敏腕記者のハイイン(ティファニー・シュー)や犯人逮捕への思いは人一倍強いが気性の荒い刑事課長など、周囲の人間のキャラ付けもしっかりされており、ファンとの対立や関係性が変化していく過程を含めて楽しめる。

凄惨な変死事件と深まる謎、ファンは娘を救えるのか


(※第1話に関するネタバレあり)あるホテルの一室で遺体が発見された。その部屋に1人で宿泊していたのは、かつては人気者だった落ち目の女性歌手。遺体は浴槽のなかで元の姿がわからないほどに溶けており、捜査官でも吐き気を催すほどのひどい状態だ。

アスペルガー症候群の鑑識官ファンは、女性歌手の遺品や証拠品を鑑定していくなかで、疎遠になっている自分の娘シャオモン(リー・ムー)の指紋を発見してしまう。このことは報告をせず、ファンは独自に捜査を開始する。シャオモンは過去に事件を起こして少年鑑別所に入所させられたものの、入所当日に逃げ出して今も行方不明だという。シャオモンの母親、つまりは自分の元妻が亡くなっていたことさえ知らなかったファンは、シャオモンを探そうにも居場所に心当たりがない。

そこでファンは娘の過去の犯罪記録から事件当時の記事を探し、キャバクラでホステスが客を酒瓶で殴打したことを伝えるハイインの記事にたどりつく。一方で、敏腕記者であるハイインも、女性歌手の事件をかぎまわっていた。

その頃、事件は意外な展開を迎える。溶けた遺体に整形のあとがないことから、ファンは遺体は女性歌手のものではないのではないかと疑い、骨の形状から遺体は女性ではなく男性のものだと見抜いたのだ。これにより、捜査陣はホテル周辺のカメラに写った若い女性に疑いの目を向ける。それはファンの娘のシャオモンだった。ファンは事件の謎を解き、シャオモンを救うことができるのだろうか。

台湾映像作品の可能性を広げ、益々の飛躍を予感させる傑作


本作は凄惨なシーンが多く、いわゆる“グロい系”の映像が苦手だという方は視聴に注意が必要だ。裏を返すと、それだけ遺体や血痕などがリアルな出来だということでもある。リアルさを追及してつくりこまれたのは、特殊効果や特殊メイクだけではない。警察署内の再現度の高さや、医者、法医学者、鑑識の専門家、ハイインのような社会部の記者などのアドバイスを受けて練り込んだストーリーなど、ディテールにまでこだわってクオリティの高い映像作品をつくりあげたことは、台湾ドラマの可能性を大きく広げた。

作品は国内外で高い評価を受け、Netflixは中国語の映像作品としては初めてシーズン2が公開されている。シーズン2には、ディーン・フジオカが検察官役で出演することが話題となったことも記憶に新しい。

本作では、毎回クレジットと次回予告のあとに、話の進行に応じたスタッフやキャストによる裏話が収録されている。これを見ると、作品づくりに対する妥協のない姿勢とともに、スタッフ陣の若さも目につく。これからの台湾映像作品界をになっていくだろう若い才能が多数かかわっており、台湾映画や台湾ドラマの今後益々の飛躍を予感させる作品だ。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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