翔「大地さんと円さんの結婚に反対しないでください」
美穂子の電話の相手は、10年以上前に離婚した元夫・真一郎だったのだ。真一郎は大地に「お前の将来が心配だ」と、円との関係を考え直すように告げる。大地は誠にショックを受けた様子を見せるが、誠は踏み込んで意見を言うことに躊躇してしまう。
一方、翔は友達との会話でハッと気づいて大地のもとに駆けつけ、自分は大人じゃないから父の代わりに無責任なことを言うと断ってから「大地さんには円さんと結婚して欲しい。大地さんは自分のことを本当じゃない姿に押し込めることになると思う。本当じゃない姿でお父さんに褒められたとしても、それって本当に苦しいです。誰かが望んでるからって自分の大切な部分を変えるの、とっても危険なことだって思います」と言う。しかし、翔が「だから…」と言いかけたところで、真一郎がやってくる。
翔が意を決して「大地さんと円さんの結婚に反対しないでください」というと「君は高校生かな?それならまだいいね、そんな格好していても」と真一郎。そして「だって一流企業に就職することになったら、その髪も、唇に塗るのも全部やめなきゃいけないんだよ。みんな社会に認められるように自分を変えていくものなんだ。それが社会で生きるってことなんだよ」と言い、「ご両親は君のことで悩みが絶えないだろうね。同じ親として同情するよ」と続け、翔は暗い面持ちで目線を落とす。
誠が家に帰ると美香が「翔が…」と心配そうに話す。誠は怒りの表情で家を出て「正しい父親のあり方はわからない。でも、息子が誰かに傷つけられたら物申しに行くのが沖田誠って父親男だ」と心の中で憤るのだった。
真一郎の言葉にショックを受ける翔にやりきれない気持ちになるが、誠の怒りには頼もしさが感じられた。
◆構成・文=牧島史佳
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発売日: 2023/12/05