首相を狙う男らをSPたちが命がけで封じる
会場にたくさんの来賓や見学客が集まる中、麻田首相一行が現れて式典が始まった。強い目まいと頭痛に襲われ苦痛に顔をゆがめる井上は、もうろうとした目で麻田を見つめる。井上の脳裏には、20年前の惨劇と麻田の口元に浮かぶ笑みがフラッシュバックし視界が二重にゆがんでいた。
ここからの展開が凄まじい。クラシック音楽が流れる中、テロリストが襲ってくるシーンが印象的な今作。最終エピソードの首相が襲われる直前には「威風堂々」のBGMが流れ、観客の盛大な拍手に迎えられて麻田がステージに立った。観客に紛れていた大男の存在に気づいたSPたち。静かにステージへ近づいていく山西。屋上に身を潜めていた謎の男も、ステージ上の麻田の胸に狙撃の的を絞る。その時、銃声が鳴り響くのだった。
ナイフを持った男と格闘した井上はフラフラになりながら麻田を連れて音楽ホールに逃げ入るが、山西に追いつかれてしまう。山西は「その男は命をかけて守る価値のない男だ」と20年前に麻田が自分を陥れたことを告げ、井上がその時に自分が刺殺してしまった2人の子供だと知り「麻田を護る理由がない」と一層強く訴える。
自分の両親が死ぬきっかけを作った男と両親を刺した張本人を前に、井上が自らのSP論を語るシーンが感動的である。どんな信念を持って、その仕事に就いているのか。井上のまっすぐな思いに心が揺さぶられるだろう。迫力があり、スタイリッシュに仕上がっている今作の一番アツいシーンが味わえる最終エピソードだった。