キム・スヒョンが主演を務める韓流ドラマシリーズ「太陽を抱く月」(Huluにて配信中)。2012年に全20話が放送された大人気ドラマシリーズである同作は、朝鮮王朝の架空の時代に繰り広げられる宮中ラブストーリーを描いた作品。第9話ではホ・ヨヌ(ハン・ガイン)とイ・フォン(キム・スヒョン)の悲しいすれ違いや、大きな事件が巻き起こる。(以下、ネタバレを含みます)
ホ・ヨヌではない…さらに擦れ違ってしまう太陽と月
厄受け巫女としてイ・フォンの部屋を訪れるウォル(記憶を失ったホ・ヨヌ)。病に苦しみながら眠るイ・フォンの横で、触れることも喋ることもせずそのそばに控えていた。しかしある夜、イ・フォンの額にウォルが触れると8年前の記憶がウォルに流れ込んでくる。ウォルが驚いて声を上げたところ、イ・フォンは素早く目覚めて目の前の影を組み伏せて「何者だ」と問い詰める。
答えられないウォルを組み伏せたまま、イ・フォンは人を呼ぶ。灯りを用意させると相手がウォルであることにすぐに気づき、なぜここにいるのかと困惑しながら問うイ・フォン。問いただしても一向に答える気配のないウォルだったが、誰の刺客なのかという問いには「刺客なんてとんでもありません。私はただの厄受け巫女です」と口にした。
周囲が騒然とするなか、ウォルは「お体に触れたことは確かに無礼な行為ですが、どうか釈明の機会をください」と願い出る。王が不調では民衆を支えきれないため、眠っている間だけでも疲労を取り除くために触れたのだという。
「胸の痛みを忘れて――どうかゆっくりと」心からの言葉を重ねるウォルだったが、胸の痛みという言葉にイ・フォンは「巫女だけに心が読めるようだな。それを探るために手を触れたのか?」と追及を重ねた。ウォルは眠りながらイ・フォンが女の名前を叫んでいたことから、それが原因だと判断して不敬を犯したと語る。
その言葉に、イ・フォンの心は荒れた。「違う。ヨヌではない」“大きくなったらこうなるだろう”姿のウォルにホ・ヨヌの影を重ねていたイ・フォン。だが眠りのなかで「ヨヌ」とうめいていた…という口ぶりから、イ・フォンがいまだホ・ヨヌの心中を知ってなおシラを切る理由はないはずだ。
だがそれでも、ウォルの顔はホ・ヨヌに似すぎている。これ以上情が湧く前に「振り払わなければならん」と考えたイ・フォンは、ウォルを王宮から出すことに。ヒョンソンやウォルの言葉を聞かず、目をつむったまま臣下たちに「王宮から出せ」という命令を下す。そしてその後、イ・フォンの身体に触れたこと、そして反論したことを理由に、ウォルは牢へと入れられてしまった。
囚われたウォルの話を聞きつけ、チャン・ノギョン(チョン・ミソン)とソルらがやってくる。星宿庁の法に則って処罰すると進言するチャン・ノギョンの抵抗虚しく、ウォルは牢へと押し込まれてしまう。狭い牢の中でパニックになってしまったウォルは、泣き叫びながらチャン・ノギョンやソルの名を呼ぶ…。
翌日、ウォルを閉じ込めた命課学教授が部下に指示を出している所に、遠出から戻ったヤンミョングン(チョン・イル)がやってくる。2人きりの部屋に呼んで話をはじめると、怯えたようすの命課学教授に「そう恐れるな」と緊張をほぐそうとするヤンミョングン。王族が観象監(クァンサンガム)に来るのは危険だと指摘すると、ヤンミョングンは笑って謀反の元は昔から観象監だからかと笑ってみせる。
ヤンミョングンは額の傷を見せ、「追われている巫女を助けた時の傷だ。私が口説こうとしていたのに、暴漢が来て連れていったのだ」と続けた。さらに「やつらの口からは“教授様"という言葉が出た」といった証言から、改めて巫女の行方を問い詰めるヤンミョングン。しかし観念したようすの命課学教授は本当に巫女が誰なのか、どこに囚われているのかを知らないようだった。
「この座がつらい」イ・フォンの苦しい胸のうち
イ・フォンは夜にキム・ジェウン(ソン・ジェリム)と2人で話をしていた。「お前もヤンミョングンのことが信じられないか?」というイ・フォンの問いに、キム・ジェウンは「疑っていらっしゃるのですか?」と返す。イ・フォンは「そんなわけない」と一蹴しつつ、周りが揺さぶるために折れてしまわないかが気がかりだとつぶやく。王の座にあっては兄弟さえも天敵になると語り、「この座がつらい」とキム・ジェウンに本心をこぼす。
そんなイ・フォンの脳裏によみがえっていたのは、ウォルの声と言葉。そこでイ・フォンは星宿庁の巫籍を確認すること、領議政(ヨンウィジョン)の動きを確認することをキム・ジェウンに命じる。間者であるかを確かめたいのかという言葉に、イ・フォンはただ目をつぶって顔を背けた。
ウォルへの焼き印を入れる刑が執行される日がやってくる。チャン・ノギョンはそのようすを眺めるしかない自分の無力さに歯噛みしながら、運命を託していった亡き友人・アリにどうすればいいのかと問う。いよいよ椅子に縛り付けられたウォルの額へ、熱せられた焼きごてが迫ったそのとき、突如制止の声が響く。
ヒョンソンが部屋へと飛び込んできて、王命が入ったと語る。王命は、「巫女ウォルはふたたび康寧殿に入り任務を果たせ」というもの。刑の執行は寸前で中止となり、ウォルやチャン・ノギョンらは安どの涙を流して崩れ落ちた。
イ・フォンはそばにいるキム・ジェウンに、「惑わされているから忘れるべきだと言ったな。…そうだ、だが忘れられん」と告白。弱さを隠す強い眼差しに、キム・ジェウンは言葉もなくたたずむのみ。
夜、ふたたび厄受け巫女としてイ・フォンの寝室を訪れたウォル。しかしイ・フォンは先に眠ることなく、起きてウォルを待っていた。言葉に責任を持てというイ・フォンは、胸の痛みと政務の疲れを忘れさせてくれとウォルに迫るのだが…。
NHKエンタープライズ