半年にわたる放送も、いよいよ残すところ2週間となった連続テレビ小説「ひよっこ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。
みね子(有村架純)の親友・時子(佐久間由衣)がスターへの階段を駆け上がったり、因縁の相手であるはずの世津子(菅野美穂)がみね子とルームシェアをしたりと、クライマックスに向けてラストスパートをかけ始めている。
そんな本作の「気になる部分」を、制作統括・菓子浩氏に直撃。世津子が再びストーリーの中枢に現れた理由や、記憶喪失になった実(沢村一樹)の今後について聞いた。
※【「ひよっこ」制作統括に聞く(1)『どうしてお父ちゃんを記憶喪失設定に?』】からの続き
「父親捜しの物語」ではないんです
──窮地に立たされた世津子を、みね子が救い出すという展開には驚きました。
普通に考えたら、谷田部家にとって世津子は敵(かたき)とも言えますよね。みね子はもちろん、谷田部家の面々は皆、世津子が実を家に置いていたことで人生が変わってしまったわけですから。
でも、世津子の“事情”が見えてくることで、世津子の気持ちも理解してあげられるような描き方を、岡田(惠和)さんはしているんです。だから、美代子(木村佳乃)も相当につらいはずですが、決して「敵討ちだ!」と女同士の戦いにはならない(笑)。
むしろ、「お父ちゃんに起きてしまった悲しい出来事を“なし”にするために」、みね子は世津子と“新しい関係”を築いていく。岡田さんならではの優しい展開だと思いましたね。
──これからのストーリーの軸は、そのあたりになるのでしょうか?
そうですね。それも1つの大事な軸です。もし「お父さんとの再会」をゴールにするなら、もっと終盤になるまでお父さんは見つからずにいるはずです。それが、物語の3分の1を残して再会を果たしました。
これは岡田さんの中で、「『ひよっこ』は“お父さんを捜す物語”ではない」ということなのだと思いますし、これからは、「お父さんが見つかってから、家族がどう“再生”していくのか」が描かれます。
もう1つ、「お父さんの“呪縛”で生きてきたみね子が解放されて、どういう人になっていくか」も大切な部分になっていきます。みね子は恋愛1つとっても、「私は恋なんかしちゃいけない」と思っていたくらいですからね。その2本柱だと考えています。
お父ちゃんの記憶はどうなるの?
──では、「実の記憶が戻るかどうか」というストーリーにはならないのでしょうか? 普通なら、「お父さんの記憶が戻りました」をクライマックスにするのだと思いますが…。
どうなんでしょう(笑)。記憶が戻るというハッピーエンドもありえますし、もし記憶が戻らなかったとしても、「新しい家族を作ればいい」、「新しい記憶を、一から作っていけばいいじゃないか」という生き方もありますよね。
(おそば屋さんのシーン等で)美代子は実にもう1回恋をしますし、実はちよ子(宮原和)と進(高橋來)にとっても、もう1度「お父さん」になっていきます。よくある“記憶喪失もの”とはちょっと違った展開になっていきますので、楽しみにしていただければと思います。
──父親が失踪中という状況から解放されたみね子には、新たな恋の展開もありますか?
そうですね。「何をしたいか」というのは、今までみね子の中に、あまりなかったことです。でも、これからはそういう意思も生まれてきます。
──みね子と秀俊(磯村勇斗)の絶妙な関係が気になるところですが…。
秀俊はみね子を、ずっと見守ってきたんですよね。一番初めにお父さんがすずふり亭に来た時のことも知っているし、上京したみね子が、ビーコロを食べに来た時も立ち会っています。
秀俊はストイックで恋愛よりも仕事に熱心なのですが、みね子をずっと、絶妙な立ち位置から見てきたんですよね…。島谷(竹内涼真)とみね子が付き合っている時でさえ、秀俊は声を掛けに行っていますから。
そう思うと、島谷と秀俊の関係性も、相当に面白いですよね(笑)。実際のキャスト同士も仲がいいですけど。
第23週(9月11日[月]〜)で、すずふり亭にも新しい風が吹き始めました。秀俊は新メニューの開発を、みね子は新しい制服作りを任されました。そういったことを通して、2人の関係性がどう変わっていくのか、ご期待ください。
省吾(佐々木蔵之介)と愛子(和久井映見)、三男(泉澤祐希)と時子(佐久間由衣)とさおり(伊藤沙莉)にも劇的な展開が待っていますし、早苗(シシド・カフカ)の恋の行方も見逃せませんよ!
毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか
NHK総合ほかで放送
【HP】 https://www.nhk.or.jp/hiyokko/
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