戦争を受け入れてしまう怖さ
本作のドラマ化は3度目。1度目は1982年、2度目は2005年とそれぞれの主人公家族が昭和19年にタイムスリップする姿が描かれてきた。
そこからさらに時代の進んだ令和の2024年。タイムスリップした先の、自分たちの暮らしとのあまりの違いに驚く太一家族。そして彼らは戦時下の衝撃の現実を目の当たりにする。
もし自分たちが家ごと戦時下にタイムスリップしてしまったら、果たして受け入れられるのだろうか…。
戦争は良くないもの。頭では分かっているはずなのに、そのスタンスを崩さないのは太一だけ。時代に順応するよう暮らしている中で、「こんな戦争」と言う父・太一に子供達は反発していく。ついには「お国のために戦いたい」と戦争を受け入れ、精神的にも染まっていってしまう。そこにも戦争の“怖さ”が描かれていると感じた。
そして、物語は衝撃のラストを迎える。その展開に、見終えたときには思わず呆然としてしまった。その“終り”をどう受け止めるか。皆さんにも、最後までしっかりと見届けてほしい。
作品を彩る豪華キャストも見どころ
大泉をはじめ、吉田羊、三田佳子、堤真一や神木隆之介、西田敏行、橋爪功などの豪華キャストが作品を彩っている。
作中では、神木がひかりのパート先であるドッグウェア専門店のオーナー・五十嵐を、西田が太一と敏夫が食料のほどこしを乞う農夫を、橋爪が神社で子どもたちに軍歌を歌わせ、戦争の士気を高める老人を演じている。
ちょっとした役で豪華なキャストが出演しているので見逃し厳禁。取りこぼさないよう見てもらいたい。
文=椿小町
NHKエンタープライズ
発売日: 2022/07/22