怨霊受けを命じられたウォルのもとに現れた、幼い怨霊
夜、ウォルが連れて来られたのはなんと王宮だった。出迎えたのはユン氏からある命令を受けた男。ユン氏は隠月閣から聞こえてくる女の泣き声に困っており、王妃ユン・ボギョンもその影響を受けていると解決法を探していた。そこで1つの方法として男が提案したのが、巫女をいけにえにする“怨霊受け”。ウォルは儀式のいけにえとして選ばれたのだ。
厳重に閉じ込められ、怨霊を慰めるよう命じられたウォル。脱出を試みるが、部屋は数々の呪符によって封じられている。以前耳にした“隠月閣から聞こえる女の泣き声の噂”――若くして暗殺された世子ピン、ホ・ヨヌの話が頭を過るウォル。「私が慰める怨霊は…あの方ですか?」王の心に残っているという世子ピンとの思わぬ巡りあわせに、ウォルはただじっと立ち尽くす。
怨霊受けをすべく部屋で寝転がったウォルは、幼いホ・ヨヌが部屋に現れていることに気付いた。その背中へ「どうして泣くのですか?ひょっとして、王様が恋しいのですか?」と質問を繰り返すウォルに、ホ・ヨヌがゆっくりと振り返る。しかしようやく見えたその顔は、幼き頃の自分自身だった。
同時刻、イ・フォンは皆既日食という“太陽が欠ける”現象を前に儀式に臨む。太陽とはすなわち王のこと。王の不道徳によって太陽が欠けるという言説に従い、反省を表すという儀式だ。しかし皆既日食とはつまり、月が太陽を隠す現象。決して出会わないはずの太陽と月が、奇跡的に重なる瞬間でもある。
陰謀によって引き離された太陽と月が再び重なった瞬間、ウォルの脳に突如としてホ・ヨヌとしての記憶が奔流のごとくよみがえっていく。巫病にかかって父母に抱えられながら死を迎えたこと、その場にチャン・ノギョンもいたこと、そしてイ・フォンとの出会いと別れ…。すべての記憶を取り戻したウォル――ホ・ヨヌは、これまでイ・フォンと残酷すぎるすれ違いを起こしていたことを知る。身悶え、悲鳴をあげるのだった。
そしてイ・フォンも王族の行事として儀式をおこなうなか、ある考えにたどり着く。毒殺でも他殺でもなく、身体を害し命を奪う…ホ・ヨヌが迎えた死の様相は、紛れもなく自身がかけられた“呪い”によるものなのではないか。儀式を終えて部屋に戻ったイ・フォンは「最高の霊力を持つチャン氏なら答えをくれるだろう」と考え、「星宿庁の国巫を呼べ」とヒョンソンに命じる。
ウォルが怨霊受けのために閉じ込めた男が翌朝ようすを確認しに行くと、そこには生きたままのウォル――ホ・ヨヌが。怨霊を鎮めたのかと問われた彼女は、「あの者は…もう泣きません」と毅然とした態度で答えるのだった。
2つの太陽が共に陰る中、光を取り戻す月
皆既日食という「太陽と月が重なる」運命的な天体現象を用いて、ウォルの記憶が戻ったシーンを描く第14話。演出と脚本の秀逸さに、大きなカタルシスを感じる回となった。
しかし問題はまだまだ山積している。ユン氏に明確な借りを作ってしまったイ・フォン、立場としては罪人のままであるホ・ヨヌ、ヤンミョングンはイ・フォンと決定的なまでにすれ違ったままだ。
過酷な運命に多くの人間が翻弄され続けるなか、この先逆転の道をどのように切り開いていくのか。「太陽を抱く月」はHuluにて全20話が配信中だ。
NHKエンタープライズ