『グランメゾン』と出会い、「食べる前の“いただきます”が変わった」
――スペシャルドラマでは若手の成長という部分もしっかりと描かれている印象がありますが、木村さん自身が若手キャストの成長を感じたり、影響を受けた部分があれば教えてください。
若手が手を抜かずに全力で取り組んでいる姿を見て、自分が何かをするということはあまりないかもしれないけど、そういう方たちとご一緒させていただいた時に「ご一緒させていただけて光栄です」といった言葉をいただく機会もあって。
そう言ってくれる方々と共同作業ができるからには、作業をしていく過程で、「光栄です」の上に行ってもらいたいじゃないですか。作業が終わった後に“なんだ、こいつつまらないじゃん”って思われてしまったら最悪だから、そういった意味では影響を受けているのかなと思いますね。
――最後に、これまでいろんな役を演じてきたかと思いますが、“尾花夏樹”は木村さんご自身にとってどのような存在でしょうか?
彼を演じさせていただくことによって、いろんな瞬間に立ち会えるといいますか、いろんな思いにさせてもらいました。
今日、取材前に「ミシュランガイド東京2025」の発表セレモニーに登壇して、三つ星に選ばれた方々の屋号を自分が発表させてもらったのですが、食事というものに対して、興味だったり、熱だったりがそこまで高くない方たちからすると、究極の他人事なのかもしれません。
ですが、飲食店の方々にとっては、星の価値はもちろん、選ばれるということへの名誉や責任、(星を)持たれていた方たちは、それを維持するというプレッシャーの中、会場に訪れていたはず。スペシャルドラマ「グランメゾン東京」は、今回も三つ星を取られていた「カンテサンス」の岸田シェフが監修してくださっています。
実際に彼がお店でお出ししているメニューも「『グランメゾン東京』でぜひお出ししてください」と言ってくれて、劇中でも使わせていただいているのですが、尾花夏樹を演じさせていただくことによって、飲食業界のものすごく一部分の世界なのかもしれませんが、しっかりと味わうことができています。
共演者やスタッフももちろんそうですが、撮る人と撮られる人が一つのチームになって、特別な価値観と世界観をものすごく煮詰めていくような感じがあって、すごく楽しくて。
自分も尾花夏樹を演じさせていただく前まで、正直「ミシュラン」と聞いても、どちらかというと“ミシュランってタイヤですよね?”という方が解釈として強かったんです(笑)。
ですが、こういう作品で時間を過ごさせていただくと、「ミシュラン」もまた違う響きになってきますし、その世界においては特別なことというものも、「グランメゾン東京」をやっていない限り、興味がなかったのかもしれないなと。
でも、「ミシュラン」に対してものすごい熱量とモチベーションをもって向き合っている方たちの存在も知ることができたし、食べる前の「いただきます」が変わったかもしれないです。添え物の野菜から何にしても、全ての命をいただいているっていう感覚がたしかにある。共演者もスタッフもすごく僕にとっては宝物の一つになったなと思います。
TCエンタテインメント