どんな役にもハマる俳優・阿部寛の意外な過去「20代は不遇の時代だった」
2000年に入ると、阿部の代表作となった「TRICK」(テレビ朝日系)がスタート。阿部演じる自称天才物理学者の上田次郎と、仲間由紀恵扮(ふん)する自称売れっ子マジシャンの山田奈緒子の迷コンビぶりが話題を呼び、連続ドラマは第3シーズンまで、その後もスペシャル3本、映画4本が作られる大人気シリーズとなった。
「つかさんの舞台でもエキセントリックな役をやったのですが、上田次郎はさらに変態性が高く(笑)、大うそつきという設定だったので、どう演じようか悩みました。監督の堤幸彦さんの才能は、その前の『ケイゾク』シリーズ(1999~2000年TBS系)などで知っていたので、当時まだ新人に近かった仲間さんと一緒に何とか成立させなければという思いが強かったですね。でも、第1シリーズのときは本当に撮影がキツかった(笑)。毎日、朝まで撮影をやっていて、睡眠時間はほとんどありませんでした。それでも、視聴者の方から『面白い』と言っていただけので、それを励みにやっていた感じですね」
「TRICK」の後に出演したのが、木村拓哉主演の「HERO」(2001年フジ系)。平均視聴率34.3%を記録、劇場版も興収81.5億円の大ヒットとなり、ブームを巻き起こした。
「やっぱり木村さんのおかげですよね。当時、木村さんは『自分よりも、皆さんを撮ってください』と言ってくれていたみたいで。それに木村さんが真ん中にドンといてくれたおかげで、僕らは自由に遊ぶことができました。それであんな視聴率が取れて、夢のようでした。でも、(自身が演じた)芝山が娘と電話で話すときに『パパでちゅよ~』と言うのは、かなり恥ずかしかったです(笑)」
そして同年に出演した「できちゃった結婚」(フジ系)では、司法浪人で無職の煮え切らない男を演じ、第30回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で助演男優賞を初受賞した。
「この役で賞をいただけたのはうれしかったですね。英太郎はチャラチャラした男ですし、自分にはそういう部分が全くないので、演じるのは難しかったです。今だと自分から懸け離れた役の方が演じやすいのですが、当時は経験的にまだそうではなかったので、これまでにいろいろな役を積み重ねてきたからこそ、演じられた役だったと思います」
2003年には「最後の弁護人」(日本テレビ系)で、13年ぶりの連ドラ主演を務めた阿部。皮肉屋で風変わりな国選弁護士・有働和明を演じた。
「つい最近、これと(江口洋介演じる主人公を執拗に追い詰める刑事役に扮した)『逃亡者 RUNWAY』(2004年TBS系)を見直したんですけど、どちらも動きがキレキレで最高でした(笑)。本来、俳優は客観視しながらやらないといけない仕事なんですけど、あらためて客観視するのは難しいなと感じましたね」
映画「祈りの幕が下りる時」
2018年1月27日(土)公開
原作=東野圭吾/監督=福澤克雄
出演=阿部寛、松嶋菜々子、溝端淳平、田中麗奈、キムラ緑子、烏丸せつこ、春風亭昇太、音尾琢真、飯豊まりえ、及川光博、伊藤蘭、小日向文世、山﨑努ほか