人を操る“不能犯”を演じた松坂桃李「(僕は)コントロールされる側なんじゃないかな(笑)」
僕はコントロールされる側なんじゃないかな(笑)
――映画「貞子vs伽椰子」(2016年)などホラー作品を得意とする白石晃士さんが監督を務めていますが、監督とのやりとりで印象的だったことはありますか?
白石監督は普段ニコニコしていて穏やかな方なんですが、人が倒れているカットを撮るとそのニコニコ度が増すんです(笑)。ブラックな部分が体の中にある方なんだなと思いました。監督に「ホラーを撮る上で鉄則はありますか?」とたずねたら、「人なめ(=人を背にして)のお化けは撮るけど、お化けなめの人は撮らない」とおっしゃっていて。その方がよりお化け感が増すらしいです。今作では、宇相吹の足音を消して、お化け感を出すなど映像の細部にまでこだわりが感じられて、不気味にじわじわくる怖さがある作品に完成していると思いました。
――爽やかな笑顔の印象が強い松坂さんですが、今作では真逆のダークヒーローに挑んだことについて、どう感じていますか。
こういう善と悪を超越したキャラクターを演じられるのは、うれしいです。僕はことしで30歳になるんですが、大勢の監督さんの下でいろんなジャンルのいろんな役と向き合って、30代になったときにまた違った作品と出合うことができたらいいなと思っています。
――宇相吹は思い込みやマインドコントロールで人を操りますが、松坂さん自身は人を操つるのか、操られるのか、どちらが得意ですか?
いや、僕は人をマインドコントロールできる要素はないと思います。イメージとしては、反射神経が鋭くて、言葉のボキャブラリーが豊富な人が人を操ることにたけてそうですよね。宇相吹のように人を死に追いやるまではいかなくても、人を思い込みでコントロールすることはできるのかもしれない。よくバラエティー番組なんかでも催眠術にかかっている人がいますし。自分自身は、おみくじでいいものが出たら、その気になっちゃうタイプなのでコントロールされる側なんじゃないかな(笑)。
――もし他人をマインドコントロールできる力があったら、何をしたいですか?
日本中の人にこの映画を見てもらえるようにマインドコントロールをかけたいです(笑)。そうしたら、歴史に残りますからね…って、それは冗談ですが(笑)、ぜひ家族や恋人、友人と一緒に映画を観ながら、宇相吹に向き合って欲しいです。はたして本当に宇相吹は悪者なのか? いろいろ考えながら、見ていただきたいですね。
映画「不能犯」
2月1日(木)公開
原作=宮月新、神崎裕也/監督=白石晃士/出演=松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗ほか