鈴木亮平主演の大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00‐8:45ほか、NHK総合ほか)に出演中の風間俊介にインタビューを敢行。
風間が演じる橋本左内は、大坂の適塾で緒方洪庵から蘭方医学を学んだ福井藩士。西郷吉之助(鈴木)のことを最初は単なる「血気盛んな男」としか見ていなかったが、やがて意気投合し、深い絆で一橋慶喜(松田翔太)将軍擁立に奔走する。
そんな、西郷の江戸での活躍を彩る人物を演じている感想などを聞いた。
――大河ドラマ、初出演のご感想を教えてください。
大河ドラマに出るということは目標の中の1つというか、悲願でもありました。やっぱり当初、緊張していたんですよね。でもその緊張も相まって、緊張しているからこそ、だんだん背筋が伸びていって、それが(役柄として)ちょうどよくなっていきましたね(笑)。
また、鈴木亮平君が大きな器で現場を包み込んでくれていたので、何とかやり切ることができたなと思っています。なので、多くの人に今回の左内役がすてきだと言ってもらえるのは、亮平君のおかげであり、現場の多くの人たちに支えられての評価だと感じています。
――橋本左内という人物をどのように捉えていますか?
調べれば調べるほど天才で、若くして命を落としていなければ、日本全国に知れ渡っていてもおかしくない偉人だったと思います。なので、この「西郷どん」、そして僕が演じさせてもらったことを通して、もっと多くの人に左内先生を知ってもらえたらうれしいなと思いますね。
――歴史上の人物を演じるにあたって感じたプレッシャーなどはありましたか?
演じることが決まってから左内先生のことを調べ始めたので、歴史に詳しい方たちから見て大丈夫かなという心配はありました。ですが、そういった歴史に詳しい人たちから「ぴったりだよ」と言ってもらえて、ものすごくうれしかったです。
――左内という人物を調べていく中で発見したことを教えてください。
物語の中では、若くして政治の世界でも活躍している蘭方医。史実では、それ以外に科学の面でも活躍していたらしいんですね。人体に科学、ダ・ヴィンチじゃんと思いました(笑)。
西郷隆盛や福沢諭吉にも尊敬されていて、「何その漫画の主人公みたいな人!」という感じなんです。そして、調べていくとおちゃめなエピソードも見えてきて、とっつきにくい天才ではなく、コミュニケーション能力が備わっている天才。なかなかいない人ですよね。
――左内の出生地である福井でのトークイベントは大盛況だったそうですが、いかがでしたか?
亮平君から「橋本左内を演じるっていうのは、福井県民の期待を全て背負うということだ」って言われていて、「そうなのか!」とは思っていましたけれど、実際に行ってみて、本当に福井の人たちって左内先生を大事に思っているんだなって感じました。
福井では小学生が最初に教えられる偉人が左内先生なので…。そんな福井の人たちから「大丈夫!」って言ってもらえて良かったです。それを確認しに行った旅でした(笑)。
――福井県民の左内への熱量が分かるポイントにはどのようなところがあったか教えてください。
東京でいろいろな人を目の前にして左内先生を話す時って、「こういう人で、こういう事をやった人だから、こうじゃないですか」という説明をするんですが、福井では説明がいらないんです。最後の「こうじゃないですか」だけで通じる。みんながどんな人物だったのかを知っているんです。福井での左内先生の知名度は、織田信長よりも高いところにあるのかもしれません。
――左内は「安政の大獄」により26歳という若さで亡くなってしまいますが、そのことを踏まえて左内という人物の生涯をどのように感じますか?
26歳という若さで亡くなってしまうというのはもちろんなんですけれど、左内先生は15歳で「啓発録」という、「私はこうやって生きていきます」という志を一冊の本にまとめてるんですね。15歳でこれからの自分を見据えている…。僕は15歳の時に何やってたんだろうって考えちゃいますよね(笑)。
左内先生は、それを胸に決めて11年後に人生を終えるわけなんですけれど、今の自分と照らし合わせてみると、ちゃんとしなきゃなって思います。ちゃんとしてないです(笑)。
――吉之助、慶喜、左内の組み合わせが江戸編での特徴の1つになっていますが、どのように感じているかを教えてください。
ヒー様(慶喜)を真ん中に3人で並んで歩くと、「漫画だったらこう描くよね」っていうようなきれいな大(吉之助)、中(慶喜)、小(左内)となったんです。物語の黄金比なんじゃないかなと思う絶妙なバランスで、この3人が並んだ時、僕はわくわくしたんですよ。
――やがて吉之助と慶喜は敵対することとなり、その時すでに左内はいないわけですが、風間さんはその状況をどう考え、また、どのように見てほしいかあったら教えてください。
このトリオは「西郷どん」の物語の中での特別性ではあるんですが、物語の中で僕が思うのは、あの2人が敵対関係になった時に恐らく中立にいたであろう人間がいないということにどこか寂しさを持ってもらえたらうれしいですね。
“if”のストーリーであり、描かれることはないかもしれませんが、「この時にあいつがいたら」「どっちに付いたかな」「どっちにも付いていないかな」とか、これからの物語の中で、吉之助やヒー様たちキャラクターたちは考えてくれるんだろうなと思っています。