――演じる上で、何か気を付けている部分はありますか?
修平は、日本ではピアニストとしてはスター的な存在で、有名なピアニストの父がいてっていう子なんですけど、根本はすごく真面目で、礼儀正しいんです。家柄も良いというか、若いとはいえ上品さがあるのはカイとは違う部分だと思うので、それは意識して出そうとしています。
あと、僕が思う「ピアノの森」っていうのはすごく繊細な作品なので、お芝居も呼吸をするようにやりたいというか、本当にそこに実在する人間がその時のままの気持ちを言葉にしているような演技というか。だから、どちらかというと実写に近いようなアフレコをやりたいなって勝手に思っていて。僕はそうした方が修平の魅力が出ると思うし、修平の揺れ動いてる感情も出せるんじゃないかなって。
だから、例えば子供向けアニメとかで感情の起伏を5段階くらいに分けて演じているとしたら、「ピアノの森」は10段階とか20段階とか。「伝わりづらいかな」って演じていて思うこともあるんですけど、それくらいの気持ちでやらないとこの作品に合わないなと思うし、僕はカイを倒すつもりでやってるので。原作ではどうか分からないですけど、常に超えたいっていう気持ちで演じているので、斉藤壮馬くんには負けないように(笑)、そこで負けたらおしまいだと思うので。
――収録では「負けないぞ!」と思って演じられているんですね。
カイはそんな事を思ってはいないので、あんまりこっちには伝わってこないですけど、壮馬くんもやっぱり気合が入っているなって感じます。でも、現場では仲良く話してますよ。ただ、役に入ると負けたくないなっていう気持ちはありますね。僕も元々、カイをやりたかったので(笑)。
――斉藤さんの「ここがカイっぽい」っていう部分を感じたりしますか?
壮馬くんは、性格的に修平に近いと思うんですよね。なので最初、カイを斉藤壮馬くんが演じるって聞いた時に意外だなって思ったんですよ。でも、カイのあの自由奔放な感じというか、掴みどころのない感じっていうのがお芝居に出てるなって思って。ちょっと悔しいですよね(笑)。
――修平のお薦めシーンや、花江さんご自身がグッときたシーンはありますか?
修平に関しては、心のザワザワが見て取れるシーンが多くて、すごい悩んでるなっていうシーンばかりで。見ていて辛くなることもあると思うんですけど、その彼の抱く感情に皆さん共感できる部分もあると思うので、全体を通して「どう乗り越えていくのか?」「カイを超えて、自分のピアノを弾けるのか?」という部分です。
あと、7話目にカイと久しぶりに再会するシーンがあるんですけど、そこは結構グッとくるところだったりするので、見ていただきたいです。それと、ちょっと後半部分にあたるんですが、修平の気持ちが爆発するシーンもあって。気持ちを込めて演じさせていただいたので、何か修平から感じていただけたら嬉しいです。
――カイが自由奔放なキャラクターだけに、修平の感情が出たシーンっていうのが、より印象に残るということもありますね。
そうですね、本当に人間らしいなと。優しく接してくれている友達に対して心にもない事を言ったり、行動を取ったりしてしまうことってあると思うんですよ。「自分は今、そういう気持ちじゃないから」っていうので、傷付けてしまうこともあるっていうのが、修平とカイのやり取りの中に結構あって。そこは、やっぱり応援したくなっちゃいますよね。
――修平の少年期 は大地葉さんが演じていますが、演じるにあたって大地さんの演技を意識することはありましたか?
それは特になかったです。1話が放送される頃には、もうアフレコが始まっていて、音響監督さんから「それでいいです」って仰っていただいていたので。オーディションで演じた時とほぼ同じイメージでいきました。
けど、もちろん大人からの参戦なので、それ以前のお話をしっかり読んで、子供の頃にカイと出会って修平がどんな気持ちだったのかっていうのを頭の中にちゃんと入れて、子供時代も自分がやっているような気持ちっていうか、そこの記憶は繋げないといけないなと思って。青年時代になってからの担当とはいえ、大地さんが演じていた子供時代ありきの青年になった修平だからっていう感覚でやっていました。
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