<W杯>元日本代表・戸田和幸、コロンビア戦は「負けなければいい」
――となると、日本の攻め方は?
「どちらかと言えば、左サイドが弱いと見ています。左サイドバックにフランク・ファブラ(ボカ・ジュニアーズ)が入れば、攻撃力が非常に高い一方で、戻りが若干遅くなる場面があります(6/9に怪我により離脱)。右センターバックのダビンソン・サンチェス(トッテナム・ホットスパー)はまだ21歳と若く、ポジショニングがルーズになる場面もありますけど、身体能力の高さで全てをカバーできる。ゆえに右からの勝負は避けたいし、左にクリスティアン・サパタ(ACミラン)が入るのならば、サパタの周辺にボールをうまく運ぶ形を多く作りたいところですね」
――3バックならば、右アウトサイドに入る酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)がキーマンに。
「内側のギャップの部分と外側で、しっかりとオプションを持ちたいですね。例えば、味方同士の距離を近くしながら、3対2の局面を作るようなイメージを共有するとか。横から入ってくるボールに弱いのは万国共通なので、その意味では外から入れるクロスは絶対に有効です。ボックス周辺でどれだけ直接フリーキックを獲得できるのか、という点もワールドカップのような戦いでは非常に重要になってきますよね」
――ハリルホジッチさんは、フリーキックの少なさを嘆いていました。
「まずボックス周辺でファウルを獲得できなかったですし、何よりもキッカーが不在でした。全てロシア大会のために隠していた、という声も聞きますけど、僕としてはそんなはずはないと思っていました。今の代表を見渡しても、中村俊輔や遠藤保仁、中村憲剛のレベルにあるキッカーは残念ながらいません。本田圭佑(パチューカ)は成功率が低いし、そもそも最後に直接フリーキックからゴールを決めたのはいつなのか、という話なので」
――代表ではザックジャパン時代の2013年9月に遠藤保仁が決めてから、ことし3月までありません。
「香川真司(ボルシア・ドルトムント)も蹴れますけど、日本代表のセットプレーを担ってきた歴代のキッカーと比べれば、やはりレベルが違いますよね。コーナーキックも含めて、味方に合わせられるキッカーも残念ながら見当たらない。頼れるキッカーがいれば、ここはセットプレーを獲得しようという狙いを共有できますし、乾貴士(エイバル)らドリブルで仕掛けてファウルを誘える選手もいるので」
海外で活躍する選手をうまく組み込んだ代表へ
――スピードだけでなく俊敏性も持ち合わせている点で、乾がクローズアップされてきます。
「戦術レベルが高いラ・リーガのエイバルで、乾はかなり難しいタスクを複数与えられています。例えば相手のセンターバックがボールを持ったときに最低でも2つのパスコースを消すとか、あるいは味方のサイドバックのところへ誘導するためにスプリントを駆けるとか。日本にいたころはそういうプレーに一切無縁だった選手が進化を遂げて、攻守両面で頼れる選手の一人となった軌跡をしっかりと評価して、ファンの方々に伝えていかなければいけないと思っているんですけど」
――ヨーロッパへ挑んだからこそ、身に付けた財産というわけですね。
「左足首を痛めて戦列を離脱するまで、香川真司もドルトムントの守備のスイッチを入れる役割を務めていました。トップ下よりもさらに一列下がった位置から前へ出て、相手のアンカーが取るポジションを消しながらプレッシャーをかける仕事を、当たり前のようにこなしていました。そのようなイメージを抱きにくい選手ですが、実は守備が非常にうまい。そういう点も理解した上で、うまく組み込みながら代表チームを作っていく必要がありますよね」
――本田圭佑(パチューカ)はどうでしょうか。
「メキシコリーグのレベルが低いとは思いませんし、ボールを収められるという意味では、3月のベルギー遠征でも頼りになる選手だと映りました。能力と経験値の高さでは抜けている一人ですし、コンディションも上がってきているのであれば、メンバーに入れておいていいと思います。ただ、どのような役割でチームに関わるのかを西野監督が決めたとして、それをのめるかどうかは確認した方がいいかと。個人的にはそれほどエゴを出す選手ではないと思っていますし、非常に高い志は本田自身に対して向けられているものだと受け止めているので」
(2018年4月24日取材)
戸田和幸(とだ・かずゆき)/1977年12月30日生まれ、神奈川県出身。1996年に清水エスパルスに入団。2003年プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーFCでプレーする。翌年清水に復帰、以後、JリーグとKリーグを渡り歩き、2013年引退。日本代表として2002年のワールドカップ日韓大会に出場した際には髪を赤く染め話題となった。現在は解説者、指導者として活躍中
インタビュー/藤江直人
6/19[火] 日本 × コロンビア(夜8:45~11:10 NHK総合)
モルドヴィア・アリーナ(サランスク)
6/24[日] 日本 × セネガル(夜10:00~2:30 日本テレビ系、夜11:00~2:10 NHK BS1)
エカテリンブルク・アリーナ(エカテリンブルク)
6/28[木] 日本 × ポーランド(夜9:00~1:10 フジテレビ系)
ヴォルゴグラード・アリーナ(ヴォルゴグラード)
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