【シブメンFILE 番外篇(前)】眞島秀和、長谷川博己…昨今の“おじさん需要”を考える
バイプレイヤー人気でおじさんがアイドル化!?
そして、2010年代は同時にバイプレイヤーズの時代でもある。これまで脇役と呼ばれていたような個性派俳優たちが晴れて主役になるターン! 2012年に始まった松重豊の主演ドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)がその先駆けだった。続いて遠藤憲一が「民王」(2015年テレビ朝日系)に主演。他に大杉漣、光石研、田口トモロヲ、寺島進という“ドラマにしょっちゅう出ていてどんな役でもこなす”働き者の俳優たちが「バイプレイヤーズ ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」(2017年テレビ東京系)ではチームになった。
50歳を過ぎた男性がみんなで一緒に住んで食卓を囲み、キャッキャウフフとじゃれあっているのがかわいいと評判になり、おじさんブームが到来。劇中のトークで明かされたように若いころはやんちゃもしただろうけれど、失敗や苦労を知っているからこそ出せる大人の優しさに癒やされる。ことし、バラエティー番組でも人気が出た大杉漣が急逝してしまい、惜しまれたが、その先駆者としての功績はしっかり受け継がれている。もはやおじさんバイプレイヤーのいないドラマなんて考えられない!
また、50代といえば、アラフィフの“シブメン”俳優も健在。春クールは「ブラックペアン」(TBS系)の内野聖陽、「シグナル 長期未解決事件捜査班」(フジテレビ系)の北村一輝と渡部篤郎がさすがの存在感を見せた。若い主人公の前に立ちはだかる壁となり、清濁併せのむ人物像でドラマを面白くしてくれるのもまた、おじさんなのだ。
(文・小田慶子)
同記事【後編】では、「主演も狙えるスター候補者」と「ネクストバイプレイヤーズ」を、より具体的に挙げて考察していく。
小田慶子(おだ・けいこ)=出版社勤務を経てフリーライターに。雑誌 「LDK」やWEBサイト「リアルサウンド映画部」などでドラマコラムを連載中。4月クールの“マイ・ベストおじさん”は、59歳にして「おっさんずラブ」で乙女な“ヒロイン”を怪演した吉田鋼太郎さん!