よりシンプルに、考えずに皆さんの芝居を受けよう
──そんな石川での撮影を通して新たに発見したことなどはありましたか?
先ほども“ロードムービー”と言いましたが、この物語は彩加がいろんなところに赴いて、その中で出会う人たちから話を聞いて、それを受けて母親とどう向き合っていくかにつながるんです。特に2話から最終話にかけてはその流れがとても重要になってきます。
私個人のお芝居の作り方ということでいうと、やっぱり受ける芝居って難しいなと。
例えば「父親は誰か知っていますか?」や「リビングウィルを持っていますか?」とフォーシーズンズの千夏(大塚)さん、明恵(濱田)さん、芙由子(西田)さんのそれぞれに同じ質問をする。
同じ質問ではあるけれど聞いている相手は違うし、それぞれに質問しているタイミングで彩加が経験してきていることも異なる。
だから当然同じ反応になってはいけないし、シンプルにナチュラルにお芝居を受けなくてはいけないんです。
撮影は物語の順序通りに進んでいる訳ではないので、「彩加は今どこまで知っているんだっけ?」と単純なことではありますが考えましたし、シンプルだからこそ相手の役者さんのお芝居とか気持ちを受けるっていうことは難しいなと石川パートでは特に感じました。
──最終話に向けて、彩加はどんどん母・春海の隠してきた真実に近づいていきますよね。
彩加は自分がお母さんについてや自分の父親について知りたい、向き合わなきゃいけないという一心で金沢に行って、いろんな人の過去を掘り起こしていきますが、それは本当はみんながふたをしておきたかったこと。それを無理やり開けてしまったことで、周囲に迷惑をかけたり、少なからず影響を与えてしまいます。果たして真実に近づくのはいいことだったのか、ってなりますよね。
そういった流れのある最終話での感情の動きは肝になると思ったので、よりシンプルに、考えずに皆さんの芝居を受けようと意識しました。
特に3話と最終話では、お芝居を受けてそして自分の中から出てくるものを信じようと思いながら演じましたね。
──この作品の鍵となる“リビングウィル”について、ドラマを通してどう思われましたか?
この作品をやるまでは名前を聞いたことがあるくらいで、内容やどういう効力があるかについては知らなかったです。
彩加を演じて、率直に自分が同じ立場になった場合にどうするかなと考えました。
自分だったら母親の交換日記を見つけてわざわざ金沢まで行くかなとか、リビングウィルがあったとして自分はどういう選択をするだろうとか…。
作中で彩加は一つの決断、選択をしましたが、それが必ずしも正解ではないと思っています。
周りにいる人たちの気持ちも含めて出した答えだし、撮影中にもたくさん考えましたが、はっきりとした答えは出ませんでした。
でもそういうものだろうなとも思うし、だからこうしてドラマが生まれるんですよね。
いろんな人と出会って、答えを導き出して、でも自分の出した答えが正しかったのかどうか分からず受け止めきれなかったりする。人間ってそういうものだよな、と出来上がった映像を見ても、撮影を終えた今でも思います。
ただ、“リビングウィル”は、答えは出せないけど、すごく意味のあるものだということに間違いはないと感じました。
毎週日曜夜10:00-10:50
NHK BSプレミアムで放送
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