人間の生命力の強さを感じる作品
――作品を振り返って視聴者に伝えたいメッセージはありますか?
震災は一瞬にしてすべてを奪っていく怖いものであるのは、被災者の方たちはもちろんですが、いまを生きる日本人であれば感じ取っているものだと思います。でも、そういう怖さで踏みとどまってしまうことが一番実は悲しいことだったりもします。
作品を通してですけれど、少なからず実話ベースの物語でもあるので、少しでも当事者の方たちの思いや心に近づこうという思いで、誠心誠意この作品に挑みました。
いま、感じることは、震災が起きて全部が壊れてもそれでも生き残った人間たちって、とんでもない生命感を持っているということです。
次の日も朝を迎えられて、人と人との関わり合いを持って助け合って、肩寄せ合いながら這いつくばって、生きていこうとする。やっぱり人間ってすごいんだなぁっていうのをこの作品を通して一番強く思い知らされました。
もちろん悲しみ、苦しみがあって、簡単に乗り越えることなんてできないでしょうし、一生心の傷として残ることだと思います。だけど、心に傷を負いながらでも生きていけるのが人間なんですよね。
時間をかけながら、少しずつ傷を癒やすことができる。それでも飯を食って、生きて、っていう人間らしさや人間の生きる生命力の強さが、震災をテーマにした作品を経て、一番感じるところでもありました。
そこを一番強く伝えていきたいですし、そういった作品であればいいなと思っています。