<試写室>「僕の初恋をキミに捧ぐ」“青春を忘れた人”にも見てほしい
独断と偏見のレビュー
正直なところ、いかに敬愛する尾崎将也氏の脚本だとしても、800万人が泣いた(※累計発行部数が800万部超)としても、こちとらバリバリのおっさんなんで、ピュアラブストーリーを見るのは気が重いな、と思っていた。
それに、主人公が病気のドラマってどうあがいても土曜の深夜に見るのは重いんじゃない?とネガティブなイメージを持っていたのだが…全然そんなことないわ。
もちろん第1話だから入りやすく、ってこともあるかもしれないが、見終わった後、全然嫌な気持ちにならないし、あまりいい思い出がなかった自分でも学生時代に戻りたいという気持ちになってしまったほど。
そこは原作もさることながら、尾崎氏の脚本による部分も大きいだろう。それに、いきなり今さら当たり前のことを言うが、桜井日奈子が奇跡的にかわいい。
檀上からビシッと指差し、絶叫弓道姿、ジャージ姿にバスタオル一枚で廊下疾走、逞(野村)に対するせりふ一つ一つ…何このかわいい生き物。
「かわいいが大渋滞」「イケメンが大渋滞」とか最近ネットニュースで使われがちな言葉を借りれば、桜井一人でかわいいが大渋滞中だ。
そして野村の“引き”の演技。同じ土曜深夜にお台場方面のドラマでも“三枚目”の潔癖症男性を演じていた彼、あの時もうまいなと思ったが、オラオラ系よりこういうちょっと引いた演技により魅力を感じる。
究極の美少女をあしらっているのに、イヤミな男感もまったくしないし、いざという場面での“ある行動”がそれまで引いた演技していたことも相まって2割増しでイケメンに見えた。
この二人だけでも顔面偏差値ヤバい(語彙が行方不明)のだが、二人を取り巻く生徒たちも美男美女過ぎやしませんか?
佐藤寛太に矢作穂香、福本莉子ら同級生たち、上級生の宮沢氷魚、松井愛莉、岐洲匠、富田健太郎…挙げればキリがない。
そりゃドラマだもの当たり前なのかもしれないが、その美男美女が魅力的なキャラクターに扮(ふん)して学生生活を送っているもんだから、眼の保養になるし、自分をこの中で気になる子の立場に置き換えて感情移入しながら妄想してもいいのかも。
個人的にはイケメン生徒会長・鈴谷昴役の宮沢が気になって仕方ない。あのヒョウ柄のジャケットはどこに売っているんだろ。というより教師も教師で野放しにし過ぎだ(笑)。
それに黄色い歓声を一身に浴びているところ申し訳ないけど「学園生活をエンジョイしようぜ!」と叫んだとき、思わず笑ってしまった。
イケメンだけど憎めないし、今後もいろいろやらかしてくれそうなあのキャラ、いいねえ。会長ブームがくるかも。
その弟役の佐藤も爽やかで実に見ていて気持ちがいい。ああいう友達がいれば学生時代エンジョイできただろうし、違った視点でいえばあんな弟がいたら男兄弟でも仲良く暮らせそうだ。
それに回想シーンの子役たちの演技がうま過ぎる。どうなっているんだ昨今の子役さんは。何を食べればそんな演技ができる子に育つの?って、子役事務所に取材に行こうかと思ったほど。
心臓病で20歳まで生きられないという主人公。もちろんそういう病の部分も描かれる作品なのだが、一方で青春の素晴らしさ、学生であることの尊さも描かれるので、今、何となくなあなあで学校生活を送っている人にはぜひ見てほしい。
それに、もう一度学生時代の青春を取り戻したい!と思っているオトナの方々も、漫画原作か…とか、学生の純愛モノか…と毛嫌いせず、この中の誰かになったつもりで見てみたら、きっと楽しめるのではなかろうか。
とはいえ、こちらはいつまでも学生時代に思いをはせている場合じゃない。“ロンリー不惑”へのタイムリミットはもう始まっているのだから…。
いつまでも僕の睡眠時間をキミに捧げてばかりではいられないのだよ。
何の話だ。
文=人見知りシャイボーイ