一字一句間違っちゃいけない
――撮影中、印象的だったエピソードはありますか?
序盤で、私と石坂さんと浅丘さんが60代くらいの設定のシーンを撮影したんです。私も浅丘さんもきれいに映っていましたよ。何か「フィルターでもかけたの?」と思うくらいに若々しくて、納得のいく出来でした。
それと、風間(俊介)さんがすてき。「道」は、風間さんの語りで物語が進んでいきますけど、語りも含めて風間さんのお芝居のうまさに感心しました。演じられている公平という役がとても魅力的に見えて、ドジでツイていない男なんだけど、それがすごくかわいい。
――あらためて、倉本さんの脚本の魅力とは?
とにかく、せりふ。言葉の魅力です。私はそれこそ、映画「月曜日のユカ」(1964年)の頃から倉本さんとはご一緒させていただいて。その後を何度も出演させていただいていますが、倉本さんが心血注いで書いたせりふだからこそ、一字一句間違っちゃいけないと思っています。
もちろん、せりふだけではないです。今回の「道」では、日本人としてきちんと覚えておかないといけない“根っこ”の部分が描かれていますので。
「やすらぎ」パートの方は相変わらずコミカルですけど、登場人物が全員年を取っているから悲しい。ただ単に笑わせるためにやっているわけじゃなくて、真面目にやっているからこそ、おかしくて悲しいんです。