最優秀作品賞は「3年A組―」 福井雄太P『菅田将暉は“真面目で一生懸命”の権化』【ドラマアカデミー賞】
“魂の人”菅田の演技に「リハーサルの段階で普通に泣いちゃいました」
――主演男優賞を獲得した菅田将暉さんについてはいかがでしたか。
菅田くんとは以前から個人的にも付き合いがあって、もちろん表現者としてリスペクトをしています。彼は“魂の人”だと思うので、そういう役をやってほしいということで、一颯という命懸けで生徒にメッセージを伝える教師のキャラクターができました。
そして、いざ撮影が始まると…もうリハーサルの段階で普通に泣いちゃいましたね。彼が演じて見せてくれるものにも泣けるし、菅田将暉という人物がここまで表現をするんだということへの感動があって、「これをあと10回見られるんだ」と思うとワクワクしました。ドラマを作るパートナーとして彼以上に頼もしい人はいないですよ。
――菅田さん演じる一颯が爆弾を使って生徒を教室に閉じ込めるが実は…というトリッキーな作りのドラマでもありましたよね。
企画段階から「菅田将暉が教師をやる」という時点で普通の教師ではないなと思いました。第1話の時点ではまだ一颯が何をするつもりか分からないから、その言動にめちゃくちゃ違和感があるんですよね。見ている人は「生徒を人質に取っているのに『変わってくれよ』なんて、何言っているんだ」と思ったでしょう。菅田くんと話し合っていたのは、やっぱり一颯は生徒に対してすごく愛情を持っているということ。それを感じさせてくれる芝居をしてくれました。間違いなく、菅田将暉という役者の腕力で成立していたキャラクターで、彼でなければできなかったですよね。
――菅田さんの主演男優賞のインタビューでは、病で弱っていく一颯を体現するため10キロほど体重を落としたということでした。
それはこちらからはひと言もお願いしていなくて、菅田くんが役者としてやってくれたことですね。病気でなければ一颯はこんなことはしなかっただろうし、彼が最後にどう命を燃やすのかというテーマに沿って、自分を追い込んでくれたんだと思います。今回、生徒役のオーディションでも、真面目で一生懸命な人ということを重視して選んだのですが、それがダサいとされる世の中でも、最後に勝つのはそういう人だと思っているんです。そして、“真面目で一生懸命”の権化が菅田将暉なんです。