大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で、くせ毛と丸メガネが特徴の個性的な人物・美川秀信を勝地涼が演じている。
宮藤官九郎のオリジナル脚本で、日本とオリンピックの歴史を描く本作。
美川はほとんどオリンピックに関係がないが、主人公であり日本人初のオリンピアン・金栗四三(中村勘九郎)の親友だ。
教師、小説家、絵描きなど、さまざまな職業を志し、自身を「ストレイシープ(迷える子羊)」と言う美川は、独特な魅力で視聴者の注目を集めている。
勝地は、そんな美川を演じていて「気持ちがすごく分かる」と話す。どんな心境で美川を演じているのか、前後編のインタビューで聞いた。
愛されるキャラクターにしていかなければと思いました
――美川はすごく個性的な人物ですが、演じられるときに意識しているポイントはありますか?
“金栗氏”といろんなバリエーションで台詞を言うようにしてます。ポイントで出てくることが多いので、第一声の「金栗氏」で印象づけられればいいなと思って。
撮影に入る前に、熊本で実際に美川さんのご親族の方々とお会いして、美川さんの性格についてお聞きしたんです。
その時に僕が「自由にやらせてもらっていいですか?」と言ったら、ご親族の方々も「どうぞどうぞ!」とおっしゃってくださったので、楽しくやっていいのかなと思いました。
宮藤さんは、実際に残っている金栗さんの日記の中では、「美川が出てくると浅草の話になることが多くて、その部分は膨らませて書いてる」とおっしゃっていて、美川に関しては脚色している部分も多いと思うんですが、それを楽しむようにしています。
ご親族の方々がうれしそうに“面白い人だった”と話すのを聞いて、すごく愛されていた方だったんだなと感じました。
だから、僕もズケズケズケズケいろんなところに顔をだすけど、愛されるキャラクターにしていかなければと思いました。
――特徴的なくるくるの髪型はどうやって決めたんですか?
どういう経緯だったかはちゃんと覚えてないんですが、美川のやりたいことがコロコロと変わるところとか、当時っぽくない感じとか、四三さんが丸坊主頭なのでちょっと違う方がいいとか、監督陣と相談して、パーマにすることになりました。こだわって作っていただいてます。
放送が始まってからは、「前髪クネ男」(連続テレビ小説「あまちゃん」[2013年]で勝地が演じた役柄)じゃなくて、“全髪クネ男”とか言われたんですけど、全く意識はしてなかったんです。
最初の中学校のシーンでは、地元エキストラの子たちと一緒の撮影だったので、浮いてしまうのではないかという心配はありました。
丸坊主頭の子も多かったですし、勘九郎さんも体を絞ってたので、中学生に見えて、僕だけ髪型も違っていたので、そこはちょっと不安でした。
――登場シーンが1シーンでも毎回インパクトがあるように感じます。最初に高師の寄宿舎に四三と2人で入った時に、「美しい川と書いて美川です」って自己紹介して周ってるシーンなども印象的でした。
あのシーンは、確か現場でのアドリブだったと思います。
たくさんのカメラがいろんな角度に置かれていて、その中で一連のシーンを撮ることが多いので、好き勝手にやってたものが映ってることが多いんです。だから寄宿舎のシーンとかは、あの場所にいるメンバーみんなで作っている空気がありました。
台本にはないけど、何かを言ったら返してくれたり、そういう場面を切り取っていただきました。
それがすごくやりやすいです。全体的に、“生っぽい感じ”があって、こういうふうにしようっていう道筋はもちろん決まっているんですけど、本当にそこで起きたことに反応していくっていう撮影の仕方は刺激があります。
何回撮っても、毎回全く同じようになってることがないので、面白いです。