妙に納得して、面白かったです
――美川といえば、遊女の小梅(橋本愛)との恋模様も気になるところですが…。
そうなんですよね。気づいたらストーカーみたいになってましたね(笑)。
自分自身も台本読んでて、「あ~そうなんだ」って妙に納得して、面白かったです。
――橋本さんと2人でのシーンはどんな雰囲気でしたか?
橋本さんはおしゃべりな方ではないんですけど、あんまり現場から離れないタイプだからか、自然と一緒にいられました。
撮影が始まる前のメイク室でも、お芝居の話をするわけじゃないんですけど、ポロっと僕がせりふを言ったりすると、それに続けてせりふを言ってくれたりして、居心地がいい感じがあります。あと思い切りがいいです。ビンタされるシーンでも最初のリハーサルからひっぱたかれて、「おおおおそうか!」と思って(笑)。でも、それで僕もテンション上げていけたので、やりやすかったです。
――まっすぐ突き進む四三に、美川が置いていかれるようなシーンは切なく描かれていましたが、心情の表現で意識している部分はありますか?
小学校の時には仲が良かった友達だけど、中学校に上がって気づいたら廊下ですれ違っても、話すことも減ってきて、でも、友達は友達っていう、そういう不思議な感じって結構あるじゃないですか。
僕は中学生でこの仕事を始めた時、同級生とだんだん距離ができていく感覚がありました。
その後、自分は大学には行かなかったので、高校を卒業したら仕事以外にやることがなくて、仕事がない時に、大学に行った友達とか、「みんな何してるんだろうな」って置いていかれたような気分になって。
全く一緒ではないですけど、美川の気持ちもすごく分かるなと思います。
――美川も悩んでる様子が見える時ありますよね。
そうですね。コミカルに明るく描かれているからこそ、切ない部分もあるんです。
台本の中に書かれていたっていうよりも、監督の方たちが「美川くんのそういう切ないところを出したいんだ」っておっしゃってくれたんです。
そういう思いから、四三の壮行会の裏で、でかい猫を抱いててちょっと寂しげな表情を撮ってくれたおかげで、役の幅が広がったと思います。
――監督さんたちが切り取ってくれるというお話もありましたが、美川という役は、勝地さんのお芝居と相性がすごくいいのかもしれないですね。
そうかもしれないですね。僕自身、色々やりたくなるタイプなので、それを監督陣が面白がってくれるのが「いだてん」の良さじゃないかと思います。
なかなかカットもかからないので、ねちっこくお芝居を続けられたりするんです。そこは苦しみでもあるんですが、面白い部分でもあります。