「M-1がなかったら今の僕らはないです」ラストイヤーに“笑った”のは笑い飯！
ことしで最後の大会となった漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2010」が、12月26日に行われ、9年連続で決勝に進出中の“ミスターM-1”笑い飯が史上最多4835組の頂点に立った。結成10年以内の若手芸人たちが毎年優勝を目指して白熱の戦いを繰り広げた夢の舞台は、決勝戦最多出場を誇る“大本命”が最後の王者となり幕を閉じた。
「M-1グランプリ」は、島田紳助大会委員長と吉本興業の「漫才を全国に広めたい、漫才に対する感謝・恩返しがしたい」という主旨の下、'01年に誕生。第1回大会優勝の中川家、第2回大会優勝のますだおかだらがスターへの階段を駆け上がった。第10回大会のことしは、カナリア、ジャルジャル、ピース、銀シャリ、スリムクラブの5組が決勝戦初進出というフレッシュな顔触れで、それぞれが渾身（こんしん）のネタを繰り広げた。また、最後の大会で初めて審査員を務めた雨上がり決死隊・宮迫博之は「M-1の（審査員の）ことを考えてたら、クリスマスも全然楽しめなかった」と語るほど、緊張感ある大会となった。
また、同日の昼には、東京・大井競馬場で9組目の決勝進出者を決める「敗者復活戦」が行われた。毎年、敗者復活戦の司会を務めてきたはりけ～んずが「これまでで一番寒い」と思わず漏らすほどの極寒の中、POISON GIRL BANDや東京ダイナマイト、千鳥ら決勝進出経験のある人気芸人や、実力派のタイムマシーン3号や磁石のほか、イラン人と日本人の異色コンビ・デスペラードらマニアックな芸人が熱のこもったネタを披露し、会場を爆笑で温めた。まさに誰が決勝に進んでもおかしくない盛り上がりを見せる中、'09年の王者・パンクブーブーが王者の貫禄（かんろく）を見せ、最後の切符を勝ち取った。
決勝では、笑い飯が、前大会で紳助から大会史上初の100点を獲得したネタ「鳥人」をほうふつとさせるネタ「サンタウロス」で審査員、そして会場中を笑いの渦に巻き込み、最終決戦に進出。初出場にして今大会の“台風の目”となったスリムクラブと、敗者復活戦を制したパンクブーブーとの最終決戦に挑んだ。笑い飯・西田は「スリムクラブが怖くて怖くて…」とこぼすほど、最終決戦でのスリムクラブのネタは観客をとりこにしたが、“笑い飯らしさ”を存分に発揮し、10年越しの悲願を達成した。
大会終了後の会見で、紳助は「大会が始まる前、『M-1』の予想を聞かれてて、ずっと『ほかがすべったら笑い飯』と言い続けてきました。良かった。1回目のネタと2回目のネタが逆なら審査員は満票だったと思う。去年もそうやって1回目のネタに100点付けて、2回目ですべったんだけどね。『ことしもか！』と一瞬思ったけど、ことしはそれほど落ちなかった。視聴率もいいし、大会を終わらせることに対しての苦情の声を聞くけど、『M-1』という美しい言葉が何かつまらん言葉になったらいけないなと思ったので、一旦はやめます。若手芸人たちが、大会をやめることに対してショックを受けていて、『明日から何を目標にすればいいんですか』とか言われて、番組の影響力を実感しました。だからなくしたらあかんなっていう思いはあります」と感慨深くあいさつ。
笑い飯・哲夫は「ダントツでウケてたらビッグマウスをたたけたんですけど、スリムクラブの方がウケてましたからね」と自虐的にあいさつ。一方、西田は「『優勝しそう』っていうのと、『優勝した』とでは違う。素直にうれしいです」と喜びをかみしめつつコメント。また、「笑い飯にとってM-1とは？」という記者からの質問に、哲夫は「（フレーズが）気に入ってずっと使ってたんですけど、9年連続なんで、やっと義務教育を卒業できたなって感じです」と独特の言い回しで回答。西田は「僕らが初めてM-1出た時は、テレビ出演3回目とかだったんです。ずっと、M-1目指して頑張ってきたんで、M-1がなかったら今はないです。本当にいつか、復活させて恩返ししたいなと思います」と力を込めた。
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