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鬼才監督が語る“救いはないが気持ちいい”衝撃作「告白」

2011/01/23 09:00

興行収入38億円を突破した映画「告白」の中島哲也監督
興行収入38億円を突破した映画「告白」の中島哲也監督

'09年の本屋大賞を受賞した湊かなえのベストセラー小説を、松たか子主演で映画化した「告白」のDVD&Blu-rayが1月28日(金)に発売される。同作は、「娘を生徒に殺された」という女教師・森口(松)の告白をきっかけに、殺人事件の真相が明らかになっていくさまを描いた異色作。監督は「下妻物語」('04年)や「嫌われ松子の一生」('06年)など、独特な映像センスに定評のある中島哲也が務めている。この作品に懸けた思いについて中島監督に聞いた。

――救いのないお話で、映像もホラー映画のようにショッキングでした。癒やし系の映画が多い中で異例の大ヒットを記録しましたが、この作品がこうして広く受け入れられた理由は何だと思いますか?

「映画をご覧になった方の感想というのはさまざまでした。誰にとっても無関係な話ではなかったということが、多くの人の興味を引いたんだと思います」

――原作を一番最初にご覧になったときの感想を聞かせてください。

「面白いと思いました。人間の負の感情について伸び伸びと描かれていて、エンディングも本当に救いがない。久しぶりに気持ちのいい小説を読んだなと」

――救いがないけれど、気持ちがいい。

「やっぱり人間って善意だけじゃなくて悪意というものも含めて人間ですから。そういうものが描かれているというのは、“人間”に触れたという感じがしますよね」

――読んですぐ映画化しようと思ったのでしょうか?

「その時は、面白いなって思っただけです。でも読んだ後、何となくストーリーが頭の中に残っていて、こういうふうにすれば映画化できるかもしれないという映像のアイデアと、森口先生って役を松たか子さんが演じたら素晴らしい芝居をしてくれるんじゃないかなというのが浮かんだんです。すぐ松さんにお手紙を差し上げたら、出演してみたいという返事をいただいて」

――映画化の際に原作の中で一番大事だと思った部分はどこでしょう?

「やっぱり人間関係じゃないですかね。ここに描かれている人と人との関係をちゃんと映像化できればいいなと。みんな会話しているけど、誰ともつながっていない。誰も孤独でいたくなかったり、自分の心の中を誰かにわかってほしいという思いがありながら、誰にも理解されず、しかも誰のことも理解しようとしない、というのは悲劇的ですが面白いと思いました」

――登場人物はそれぞれ自分に都合のいいことしか言ってないんですよね。

「でもそれは当たり前のことなんですよ。誰がブログとかに自分の本音を書きますか。もちろん本人は本音で書いてるつもりかもしれませんけど、言葉を選ぶということで、その中には確実に嘘が入っていく。今回は13歳のたくさんの若い俳優たちと付き合いましたけど、その子たちが言葉を結構信用しているのは驚きでした」

――ネットは匿名の世界ですし、若い子たちが嘘をついて別の自分を作り上げるというのはよくあることなのかと思っていましたが…

「割と信用しますよね。だますのは簡単です」(笑)。

――演出のためにだましたりとか?

「それはやりません。子供たちとは誠実に向き合いました。生徒役の37人の子供たちは演技経験の少ない子たちでした。全員に小説を読んでもらい、台本もみんなで読み合わせして、森口先生や犯人の少年A、Bの行動をどう思うか話し合い、それぞれが出した意見によってそれぞれの役を作っていきました。13歳のいろんな個性を持った子供たちとそういう作業をする機会はめったにないので、苦しかったですけど面白かったです」

――松たか子さんの出演が決まり、制作が始まったということでしたが、少年Bの母親役の木村佳乃さんと熱血教師役の岡田将生さんの起用のきっかけは?

「木村さんが演じられたお母さん役は、お母さんらしくない人、母親という役を与えられているけれども、ちゃんと一人の女性としていてくれる人っていうことで考えました。原作だともう少し年上の方だったりするんでしょうけど、あえて若い木村さんにお願いしました。木村さん、色っぽくていいなと思いましたよ(笑)。岡田さんの演じたウェルテルという役は、大人である森口先生と13歳の生徒たちの中間。キャスティングの時はウェルテルが若いんじゃないかって意見もありましたけど、生徒役もできるし先生役もできるような人がウェルテル役じゃないと映画全体が豊かなものにならないと思い、岡田さんにお願いしました。木村さんも岡田さんも私の予想を超えて、つまらなくなりそうな役をすごく面白くしてくれました」

――この作品をどのような人に一番見てもらいたいと思いますか? やはり今の子供たちに向けて?

「もちろん見てほしいと思いますが、R15指定になっちゃったんで。ただ、大人にだけ見てほしいという思いで映画を作ったことはないので、どんな人にも見ていただけるのであれば。みんな見ろと強制することはできませんけど」(笑)。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

「告白」
【DVD完全版(2枚組)】4935円
【BD完全版(Blu-ray1枚+DVD1枚)】5985円
【DVD特別価格版】 2940円
1月28日(金)発売
DVDレンタル中
発売元・販売元:東宝
(C)2010「告白」製作委員会

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