森田剛「FORTUNE」世界初上演に「正直、最初は少し抵抗がありました」
森田剛コメント
「夜中に犬に起こった奇妙な事件」(2014年)に続いて、サイモン・スティーヴンスの戯曲に挑むことになりました。しかも今回は新作ということで、とても光栄に思います。
「夜中に~」は、リアルとファンタジーが入り混じりながら、一人の男がいろいろな人たちと関わっていくことで成長する様子が描かれた物語でしたが、この「FORTUNE」を初めて読んだとき、似た感覚を持ちました。
今回も、僕が演じるフォーチュンが人と関わることで物語が動いていくのですが、「夜中に~」と違うのは、何不自由のない成功者が堕ちていく、ということ。
「ファウスト」をベースにしているそうですから当然ですが、正直、最初は少し抵抗がありました。
それに、サイモンの戯曲は精神的に強く揺さぶられるので、前回とても苦しんだことも思い出し、そこにまた飛び込むことにも勇気が要りました。
ただ同時に、幕が開いた瞬間になぜかすべて報われた感覚も経験したので、今はそれをもう一度味わってみたいという気持ちが強くなっています。
先日、演出のショーン・ホームズ、美術のポール・ウィルスから、たくさんのアイデアを伺いました。文化の違いがあるからこそ、新たな感覚を引き出していただけるのではないかと今から期待しています。
初めましての方々とのものづくり、とにかく純粋な気持ちで、共演者・スタッフの皆さんと共にこの作品に向き合いたいと思っています。
吉岡里帆コメント
世界的に活躍されているイギリスの劇作家、演出家、美術家のお三方が、この日本で手がけられる世界初演の舞台。このようにスケールの大きい舞台に立たせていただくこと、とても光栄です。
まだ26歳の私を抜てきしていただいたことを、素直にうれしく思います。私が初めてお芝居に触れたのは、小劇場の舞台。それだけに舞台への憧れは強く、だからこそプレッシャーにも感じています。
この戯曲には、演劇でしか伝えられないような大きなテーマが描かれています。読めば読むほど、心も体も全部この作品に注ぎ込みたいと思いました。このような作品に参加させていただけることは本当にぜいたくで、とても幸せです。
大きな舞台への出演は今回初めてで知らないことが多く、スポンジ状態の今だからこそ、クリエーターの皆さんや共演者の皆さんとの作品づくりを通じて、新しい価値観を受けられることは、とても幸運なことですし、役者冥利(みょうり)に尽きます。
せっかく頂いた貴重な機会、多くを学び、さまざまなものを吸収して、作品世界を体現し、少しでも多くのお客様に伝えられるよう、努めたいと思います。
【東京公演】2020年1月14日(火)~2月2日(日)東京芸術劇場プレイハウス
【松本公演】2月7日(金)~9日(日) まつもと市民芸術館主ホール
【大阪公演】2月15日(土)~23日(日) 森ノ宮ピロティホール
【北九州公演】2月27日(木)~3月1日(日) 北九州芸術劇場大ホール
作:サイモン・スティーヴンス
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣裳:ポール・ウィルス
出演:森田剛、吉岡里帆、田畑智子、市川しんぺー、平田敦子、菅原永二、内田亜希子、皆本麻帆、前原滉、
斉藤直樹、津村知与支/根岸季衣、鶴見辰吾
企画・製作:パルコ