高橋一生、蒼井優との共演は「仕掛けながら芝居ができてうれしい」
ひと目で恋に落ち結婚した妻との10年間を描いた大人のラブストーリー映画「ロマンスドール」(公開中)。平穏な日常の中で、愛の“かたち”が変化していく大人の男女の感情がリアルに映し出される。
主人公のラブドール職人の哲雄を演じたのは高橋一生。ひと目ぼれをして結婚した園子(蒼井優)と幸せな日常を送りながら、ラブドール職人であることを隠し続け、家庭を顧みなくなる。そんな哲雄を演じた高橋一生に、作品についてや蒼井優との19年ぶりの映画共演について語ってもらった。
人とのつながりは切なさをはらみつつ、人生は前に進むだけ
――哲雄という人物をどのようにとらえて演じましたか?
彼はひと言で表すと不器用。けれどすごく複雑な人物で、彼の裏側が全く見えないんです。どちらかといえば面というより層でできている人物。この層というものが面白いんです。園子と哲雄が生活している軸は、それぞれ違ってしまっているんです。最初は一緒の層にいたんですが、結婚生活を重ねることによっていつの間にか次元が変わっていってしまった。最終的に2人はどうしても交わることができない違う階層に存在してしまったんじゃないかと感じました。
僕は、自分が出ている作品は、恥ずかしくてなかなか見ることができないんです。けれどこの作品は試写から帰ってきて「いい夫婦だったなぁ」と思い返すことができました。なんだか不思議な作品です。
――一緒だったものが少しずつズレていくことは悲しいことですね。
多くの人がそういう風に生きているんじゃないかと思います。 同じ階層にいる時もあるけれど、時間と共に変わっていってしまって…。それは生きている限りずっと続いていくことであはりますが、そのこと自体は切なくもあり、前向きなことでもあると思います。人とのつながりは切なさをはらみつつ、人生は前に進むだけなので明るさもある。そういうことを感じながら演じられて楽しかったです。