DJ KOOインタビュー#1「日本の歴史を作ってきた“オドレルJ-POP”は自信を持っていい!」
「いろんな時代を、まさに百裂拳のごとくちりばめてます!」
――今回のアルバムジャケットは原哲夫先生のイラストがあしらわれていますが、こちらはKOOさん直々にオファーをされたのでしょうか?
DJ KOO:これすごいでしょ?(笑) 昔はよく「ジャケ買い」(レコードやCDのジャケットだけで判断して買うこと)ってあったんですけど、今回の「踊れるJ-POP」スタッフのみんなで、「思わずジャケ買いしちゃうようなインパクトのあるものないかな?」って話していて。
そんな中で、僕がDJをやっている際のいろんな機材をいじっている姿を見て、「これ、『北斗の拳』の世界観で原哲夫先生にお願いしてみようか?」という話になりました。
――出来上がったイラストをご覧になっていかがでしたか? まさに「北斗百裂拳」のような、「北斗の拳」の世界観そのままといった感じですが(笑)。
DJ KOO:いやぁ~、うれしいに決まってますよ!(笑) もう、今年に入って一番うれしいです。いろんな時代(の楽曲)を、まさに百裂拳のごとくちりばめてますからね。
「J-POPが海外で受け入れられて、音楽のコンプレックスが全部飛んだ」
――近年Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスですとか、Youtubeを通じて海外の音楽ファンに日本のシティポップや歌謡曲、アイドルポップスなどが発見されて非常に人気になっています。このアルバムもそうした世界から「発見」されることにも一役買っていくんじゃないかなと思いますが…。
DJ KOO:まさにその通りですね。これまで日本の音楽業界、これは僕なんか特にそうなんですけど、海外に対してすごくコンプレックスがあったんですよね。
昭和の時代は特にそうでしたけど、ロックやるんだったらイギリスの人たちが強いし、ソウルやるんだったらやっぱりアメリカのミュージシャンにはちょっと勝てないな、みたいな。そういう中で、今あえて日本の歴史を作ってきたこの「J-POP」っていうのが、世界の人たちにまた注目されるな、と。
ちょうど僕、今盆踊りとDJのコラボもやってるんですけど、あそこでTRFをかけたり、西城秀樹さんの「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」をかけたりしてたんですよ。それで盛り上がってるんで、「あ、これはもう海外でもやってみよう!」と思って、台湾やフランスも行きました。
そこで同じようにJ-POPで盆踊りをやったら、みんなが盛り上がっちゃったんですよ。これで今まで持ってた音楽のコンプレックスが全部飛びましたね。そこで「世界の人たちは今、日本をこういう目で見てくれてるんだ! 日本の踊れるJ-POP、『オドレーJAPAN!』は自信もっていいぞ」って思いましたね。
――数年前に荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」がリバイバルしたことに端を発して、「U.S.A.」のような、やや忘れ去られていた“ユーロビート”のサウンドがヒットしたことは、近年でも非常に象徴的なトピックでしたが、最近はニュージャックスウィングがダンス方面で再び流行り始めているという話も耳にします。KOOさんはリアルタイムでそうしたシーンとも接してこられたと思いますが、当時を知るKOOさんからご覧になって、80年代~90年代初頭の楽曲の魅力はどういったところでしょうか?
DJ KOO:やはり海外の(当時の)洋楽を日本風に直したというか、リメークしたようなものが80年代~90年代(のサウンド)なんですよね。荻野目ちゃんにしても、「ダンシング・ヒーロー」はカバーじゃないですか(※原曲はアンジー・ゴールド)。
あと、フィンツィ・コンティーニの「CHA-CHA-CHA」を石井明美さんがカバーしたりとか、Winkがカバーしたりとか、当時はそのままのものだったんだけど、それを今の時代は日本から生まれているダンスミュージックっていうところがすごく象徴的だと思いますね。
そういった意味で、90年代のTKサウンドっていうのはまさにJ-POPのはしりというか、“JーDANCE”のはしりだと思っていて、今はそれがさらにいろんな形で広がりつつあるなとすごく思ってます。
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