日本の運命を託された勇敢な50人、佐藤浩市「僕らはそれを伝えるメッセンジャー」<Fukushima 50(フクシマフィフティ)>
日本のみならず、世界中が注視していた東日本大震災における福島第一原発事故。その知られざる真実に迫った映画「Fukushima 50」(フクシマフィフティ)で主演を務めた佐藤浩市は、原発の第1・2号機当直長として事故現場の最前線にいた伊崎利夫を熱演。そして、彼の娘であり、不安に揺れる避難所で父の帰りを待ち続けた遥香を吉岡里帆が演じ、事故当時の原発内の様子だけでなく、家族の姿にも迫った深い人間ドラマが誕生した。
――それぞれ出演を決められた理由を教えてください。
佐藤「事故の対処に当たった作業員たちのことを、海外メディアが敬意を込めて“Fukushima 50”と呼んでいるのは耳にしていました。でも、日本ではことについて報道されることはほとんどなく、“Fukushima 50”という呼び名も、そして彼らのほとんどが地元の人間だったというのもあまり知られてないと思います。僕らはそれを伝えるメッセンジャーとなることに意味を感じました」
吉岡「私は東日本大震災が起きたときは高校生で、関西に住んでいたのもあって、被災地の様子をニュースなどで見ても、どこかで遠いところの話のように感じていたかもしれません。その後、このお仕事を始めてから、福島の富岡町に住まれていた方に取材させていただく機会があり、そのときにうかがった故郷への思いに胸がいっぱいになりました。その直後に、この映画のオファーをいただいてご縁を感じましたし、当時を知らない世代に伝えていくのは大事なことだと思い、出演させていただくことを決めました」
――佐藤さんは原発の中央制御室(中操)、吉岡さんは避難所と、場所こそは違いますがとても緊迫感のあるシーンに挑まれました。現場の雰囲気はいかがでしたか?
佐藤「撮影では、僕ら中操メンバーのシーンを先に撮ったのですが、そこでは事故が起きたあの日から時系列に沿って順撮りで撮影していきました。もちろん、実際にその場にいた方の気持ちに完璧に寄り添うことはできないのですが、電源の落ちた真っ暗な中で撮影をしていくと、それだけで気持ちはめげてくるんですね。演じている僕らですらそうなのだから、実際の方々はどんな気持ちだったのか。それを常に考えながら撮影に挑んでいました」
吉岡「私が参加した家族パートはシーン数的に少ないですし、浩市さんたちの現場とは比にならないのですが、避難所に集まったみんなでニュースを見るシーンでは本物のニュース映像が使われていました。見ているうちに胸に押し迫ってきて、そこに父親がいると思うと恐怖を感じました」
3月6日公開
監督=若松節朗
出演=佐藤浩市、渡辺謙、吉岡秀隆、緒形直人、吉岡里帆、富田靖子、佐野史郎、安田成美ほか
原作=「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将(角川文庫刊)
製作=KADOKAWA
配給=松竹、KADOKAWA
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