芥川龍之介を演じた松田龍平の主演作が「衛星放送協会オリジナル番組アワード」グランプリを受賞!

9月1日(火)に東京・よみうり大手町ホールで「第10回衛星放送協会オリジナル番組アワード」授賞式が開催され、2019年にNHK BS8K・NHK BS4K・NHK総合テレビ・NHKワールドJAPANで放送された「スペシャルドラマ『ストレンジャー~上海の芥川龍之介~』」がグランプリを受賞した。
同アワードは、2011年にBS・CS(有料多チャンネル)のオリジナル番組の制作促進と、優れた番組の認知度向上を目的に創設されたもの。今回は、2019年度にBS、CSで放送されたオリジナル番組の中から、放送作家や新聞記者などの有識者で構成された審査員が、作品のオリジナリティーなどを基準に各部門の最優秀賞とグランプリを選出し、表彰を行った。
グランプリを受賞した「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」は、芥川龍之介の「上海游記」を原案に、新聞社特派員として上海を訪れた芥川の視点で、当時の中国の動乱を描いたドラマ。主演に松田龍平、撮影監督に日本映画界をけん引するカメラマン・北信康を迎え、ほぼ全編を上海で撮影。8Kの圧倒的映像美で1920年代の中国を鮮やかによみがえらせた。

審査員長・吉岡忍氏(ノンフィクション作家)は、「芥川が見聞した断片から中国近代史を読み解き、骨太のストーリーに仕上げており、史観の確かさ、日中の役者陣の存在感が印象に残る。中国が国際社会再編の台風の目となっている現在、中国近代の源流にさかのぼってドラマ化に挑んだ意欲を高く評価したい」と講評し、「芥川の中では有名な作品ではないが、混乱の中で日本との戦争が始まる大激動の時に芥川が中国に行く、その世界観を見事に描いていた。歴史の根元に視点を据えていて、良い作品を見させて頂いた」とコメントした。
一方、制作に携わった制作統括の勝田夏子氏は「100年前の上海を再現することは高難度のミッション。精鋭のチームと日本映画界の第一線のカメラマン・北信康氏を監督に据えて、9割のキャストが中国人という現場は、異文化が交ざり合いとても刺激的だった。まだ新しいことに挑戦できる業界であることを体感できた」とテレビ業界の可能性に目を輝かせた。
また、グランプリ発表の際には、主演を務めた松田もビデオメッセージで当時を振り返り「上海の撮影は画作りのために地面に水をまいていて、湿気がすごく暑かったことを今でも覚えている。中国と日本のスタッフが子供のように作品を作っている時間が幸せだった。役者をする上での宝になったし、また素晴らしい作品に出会えるように頑張りたい」とさらなる飛躍を誓った。