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<西野亮廣>ゴミ人間〜『えんとつ町のプペル』誕生の背景と込めた想い〜「『面白い』を基盤から作る」【短期集中連載/第8回】

2020/10/12 19:30

世界を変える


世間は既存のルールに乗る者を求め、そこから外れた者を容赦なく叩きますが、一つ確かなことは、既存のルールから生まれるモノは概ね同じ形をしていて、それでは世界を変えることはできません。いつの時代も、圧倒的オリジナルは「違うルール」から生まれます。

世界を変えるには、ルールから変えなければいけません。ただし、そこには大きな痛みが伴います。ルール変更を快く思わない人がいます。自分が想像できないことに不快感を覚える人がいます。

映画『えんとつ町のプペル』では、原作・脚本・製作総指揮のほかに、主題歌の作詞作曲も担当させていただいております。作品タイトルそのままの「えんとつ町のプペル」(歌・ロザリーナ)という曲です。その曲の二番の歌詞は、こんな感じ。

「夢を持てば笑われて、声を上げれば叩かれる。見上げることができない町で、僕はどうだ? 輝く星が煙に飲まれて、明日が見えなくても、ゆこう、嵐の海を越えて光の世界へ。もう聞こえているんだろう? 勇気の産声を」

日本語表現としては「勇気の産声が」の方が正しいのかもしれませんが、曲の展開(このあとサビなんです)を考えたときに「勇気の産声を」の方が気持ちが良かったので「を」を選びました。

そんなことはさておき、この曲で歌っているのは、現実世界の話で、挑戦者の半径5メートル以内で起きていることです。まだ誰もやったことがない挑戦には痛みは付きもので、くわえて指針となるようなものがありません。来る日も来る日も手探りです。そんな中、身体を前に進めてくれるのは、胸の中の一番奥の部屋から響いてくる「それでも、やりたい」という声で、あとはその声に従うか否か。

僕の場合、その声は「テレビで売れたい」でもなく、「人気者になりたい」でもなく、「エンタメで世界を獲りたい」でした。

そうなると、当然、「ルール変更」にメスを入れ、そこから作品を作らないといけません。最初は理解(共感)されないことなんて百も承知です。だって、誰も「エンタメで世界を獲りたい」なんて考えていないんだもの(笑)。

2018年、ビジネス書『新世界』刊行にあたり西野が自腹で宣伝をうった際の毎日新聞紙面。第86回毎日広告デザイン賞最高賞を受賞した
2018年、ビジネス書『新世界』刊行にあたり西野が自腹で宣伝をうった際の毎日新聞紙面。第86回毎日広告デザイン賞最高賞を受賞した


もし貴方が、目の前の人達が求めているものに満足できないのであれば、どうか「自分が思い描いた世界を、制限なく具現化できる環境作り」から手をつけて欲しい。そこから工事を始めないと何も変わりません。ただし、そこの工事を許さない人が、かなり存在します。味方の姿が見えなくなるほど。それでも、やれるか?

今日はこれからアフレコ収録。コロナシフトで色々スケジュールがズレましたが、ようやく今日でアフレコ収録が終わります。俳優の皆様が全力で作品と向き合ってくださって、おかげで本当に素晴らしい収録ができました。主演俳優さん(※10月20日に発表になります)から「この作品は、特に今の時代の人達に絶対に届けなきゃいけない作品ですね」というお言葉を頂戴しました。

映画のスタッフは皆、大きな挑戦に伴う痛みを知っています。自分達の一世一代の大勝負の年に、100年に一度のウイルスに襲われたので、コロナがもたらした痛みもよ〜く知っています。だからこそ、チーム一丸となって「今まさに勇気を振り絞ろう」としている人達に向けた『えんとつ町のプペル』という応援歌を作っています。貴方に届くといいな。

(第9回は10月20日[火]更新予定)

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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◼︎『映画 えんとつ町のプぺル』ED主題歌(ダンスバージョン)

PROFILE●1980年、兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。1999年、梶原雄太と「キングコング」を結成。2001年に深夜番組『はねるのトびら』のレギュラー出演決定と同時に東京進出を果たす。同番組がゴールデン枠に移行した2005年に「テレビ番組出演をメインにしたタレント活動」に疑問を持ち、「自分の生きる場所」を模索。2009年に『Dr.インクの星空キネマ』で絵本デビューを果たす。2016年、完全分業制による第4作絵本『えんとつ町のプペル』を刊行し、累計発行部数50万部を超えるベストセラーに。2020年12月公開予定の『映画 えんとつ町のプペル』では脚本・制作総指揮を務める。クラウドファンディングでの合計調達額は3億8000万円を突破。現在、有料会員制コミュニティー(オンラインサロン)『西野亮廣エンタメ研究所』を主宰。会員数は7万人を突破し、国内最大となっている。芸能活動の枠を越え、さまざまなビジネス、表現活動を展開中。

◼︎オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」
https://salon.jp/nishino
西野が考えるエンタメの未来や、現在とりかかっているプロジェクトを先んじて知れたり、場合によってはクリエイターとして強引に参加させられたりする国内最大の会員制のコミュニケーションサロン。コワーキングスペース「ZIP」の利用やサロンメンバーだけでの特典も多数。

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  • 映画『えんとつ町のプペル』(12月25日[金]公開予定)誕生の背景とそこに込めた想いを語る連載第8回
  • 【画像を見る】映画『えんとつ町のプペル』より。10月20日(火)に声優陣、90秒の本予告、主題歌などが発表され、遂に全貌が明らかになる
  • 『えんとつ町のプペル』を支える西野亮廣の思想を具体化した「シナジーマップ」。宣伝もお金もすべてを掌握することで、壮大な作品作りを可能にした
  • 2018年、ビジネス書『新世界』刊行にあたり西野が自腹で宣伝をうった際の毎日新聞紙面。第86回毎日広告デザイン賞最高賞を受賞した

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