広末涼子が“子供を失った母親”役を通して“乗り越えた”こととは?

2013/11/27 06:00 配信

作品を通じて感じたことを明かす広末涼子

作品を通じて感じたことを明かす広末涼子

映画「桜、ふたたびの加奈子」のBlu-ray、DVDが発売中。

同作品は、 新津きよみの小説「ふたたびの加奈子」を映画化したもので、はかないからこそ美しい桜をモチーフに、母と子の絆と命の不思議を描いた感動作。

桜の季節、桐原容子(広末涼子)は、小学校入学を前にした娘・加奈子(戸田みのり)を不慮の事故で亡くしてしまう。自分を責め、思い詰めた容子は、娘の部屋で自殺を図るが、あわやのところで一命をとりとめる。そして、その日から「加奈子はここにいる」と不思議なことを言い始め、見えない加奈子のために食事を作り、話しかけ、出かけるようになる。夫の信樹(稲垣吾郎)は、容子を救い出したいと願いながらも、現実を受け入れて前を向こうとしない容子にいら立ちを募らせる。そんなある日、シングルマザーとして子供を産む決意をした女子高校生・野口正美と出会った容子は、「加奈子が正美の子供として生まれ変わって帰ってくる」と思い込んでしまい…というストーリー。

今回、容子を演じた広末涼子にインタビューを行い、作品に込めた思いや撮影の裏側などを語ってもらった。

――改めて作品の感想をお願いします!

見終わった後に、「映画を見た!」という満足感のある作品でした。それは、物語もそうですし、映像の重厚さ、音楽、画の作り方やアーティスティック部分など、「とても完成度が高い作品だな」とわたし自身感じたので、改めてDVDやBlu-rayで見ていただけるというのはすごくうれしいです。

――印象深いシーンは?

やはり、お花見の桜が象徴的なシーンや最後に海に行って賢一君と加奈子が入れ替わって円を描くシーンなどの“家族のシーン”です。それから、冒頭の告別式や(飼い犬の)ジローが逃げてしまって自分も走って加奈子の霊を追いかけるシーン。技術班の方々も一緒にお芝居をするように動いてくださり(映像は、走る容子の視点を映している)、また、自分も映らない部分でお芝居をするところは一体感が生まれたカットなので本当に印象深いです。

――とても辛い役柄で演じるのも大変だったのでは?

“死”と向き合う物語なので、「“母親”である人が見たらどれだけショッキングか」とか、「見た人がどれだけ辛い気持ちになるか」、「もしかしたら同じような経験をされた方も見るかもしれない」ということを考えた時に、(この役を演じることが)すごく踏み切りづらかったんです。ストーリーやファンタジーの部分はすごくすてきな物語で、もちろん悲しみや残酷さを伝えたいわけではないけれども、それが残ってしまうような作品だと嫌だなと思って…。そんな中、監督が「東日本大震災があって、だからこそ“一番大切な存在の死”というものをあえて取り上げる作品で、“奇跡”や“救い”を届けたい」とお話してくださったんです。その言葉にわたしも背中を押されましたし、「きっとそういうふうに思って映画を撮ってくださる監督さんだったら、わたしが心配していたようなことにはならないのではないか」と思い、強い信頼感の下、演じさせていただきました。でも、やっぱり重い作品というのは気持ちが持っていかれるなと…。撮影の間は、ずっと辛い気持ちが抜けませんでした。そんな中で、「きっとそれが女優として自分の成長につながったり、何かをメッセージできたり、自分ができる使命なんだ」と思いながら撮影をさせていただきました。

――撮影で「救われた」と思うシーンは?

加奈子である賢一君がお話をしてくれてストーリーが完結したシーンです。作品の中では現実的に彼の声のまま投影されていますが、監督と話し合って、現場では加奈子役のみのりちゃんにもいてもらって、実際に加奈子と会話をしたんです。きっと容子には加奈子の声で聞こえていると思いますし、その場でリアルに加奈子と話せた感覚になって、10代の頃ぶりに「お芝居って“芝居”じゃないんだな。その時の感情というものは、自分がその役になって本当の自分の感情になるのだ」と思ったくらい感情が溢れたんです。子供たちはまだ小さく、本当に大変な撮影でしたが、男の子のかわいらしさと愛おしさ、愛くるしさがあって、そこにしっかりとした加奈子の声があって…。そのことにすごく支えられて、自分の中でリアリティーが生まれたのだと思います。

――夫役の稲垣吾郎さんの印象は?

すごくしっかりお芝居を構成されていて、とても安心感がありました。対峙してお芝居をする中で、ただ良い旦那さんになるだけではなく、容子の気持ちを汲んでいながらも、彼の葛藤やいら立ちもすごく出ていたので切なくて…。容子が女性として精一杯で一生懸命なのも分かるのですが、彼に対してすごく残酷なことを言ってしまうので、演じながら「ごめんなさい…」という気持ちでした…。そんな容子を大きな包容力で包み込んでくれる信樹は、本当に稲垣さんのお芝居で構築されたものだと思いました。

――深い悲しみを乗り越えた容子ですが、ご自身が“乗り越えた”と感じたことは?

撮影している間はすごく辛かったのですが、この作品に関わらせていただいて、自分の日常のありがたみを感じたり、“あたり前の生活がどれだけすばらしいことか”ということ、“命の大切さ、尊さ”を感じることができたことが、「容子と共に自分も成長させてもらっているな」と感じたところです。そういう意味で、この作品を終えた時も「一つ乗り越えられた」という感覚がありました。自分でも「(演じるのは)きっとしんどいだろうな」という予測もありましたし、友達や家族からも「どうしてそんな悲しい作品をやるの?」と言われたんです。確かにそうですが、「やっぱりやることによって、自分も得るものがある」というふうに改めて感じさせられました。

――最後にメッセージをお願いします!

わたしは、これが非現実的なものとしてではなく、本当に彼女に訪れた奇跡だと思って演じさせていただきました。震災を経て、いろんな方にお会いしたり、本を読む中で、「現実には物語よりもすてきなお話がたくさんある」と実感したのですが、この作品を見ていただいて、そんなすてきなお話を疑似体験してもらえたら、きっと今ある日常や、大変なことも愛おしく思えたりするのではないでしょうか。そのような気持ちになってもらえたらうれしいなと思います。

「桜、ふたたびの加奈子」
DVD【本編DVD 106分+特典DVD 約60分】2枚組 4725円
Blu-ray【本編Blu-ray 106分+特典DVD 約60分】2枚組 5250円
発売中