「スニッファー」阿部寛が“嗅ぎ顔”の秘密を明かす!
10月22日よりスタートした阿部寛主演のドラマ「スニッファー 嗅覚捜査官」(NHK総合)。特殊嗅覚で犯人や犯行の手口、ときには人の心の動きまで読み解く犯罪コンサルタント・華岡(阿部)と、彼の相棒である人情派刑事・小向(香川照之)の活躍を描いている。
このドラマで注目を集めているのが阿部の“嗅ぎ顔”。初回の終盤では、仕掛けた時限爆弾を解除してみろという犯人に対し、華岡がにおいから犯人の動揺を読み切り、見事に切るべきコードを当ててみせたが、犯人の動揺を誘うための過剰なまでの“嗅ぎっぷり”に腹を抱えた視聴者も多かったはずだ。
そんな阿部を直撃し、強烈な“嗅ぎ顔”の秘密や、香川との共演の感想を聞いた。
――初回で見せた華岡のにおいの嗅ぎ方が印象的でしたが、表情はどのように作り上げたのですか?
「どの程度までやっていいのかな」と悩みました。でも、ポスター撮影で白目をむいて嗅いでいる写真が使われたので、これくらいやっていいんだなと思いました(笑)。
初回で言うと、序盤はそこまで強調していませんが、最後は犯人を追い詰めないといけないシーンですから、あそこまでやらないと追い詰めきれないと思ったんです。半分パフォーマンスですが、犯人の感情を動かすためには過剰にやった方がいいなと思って、撮影直前にカメラ位置を見ながら頭の中で計算しました。監督には、「やりすぎならカットしてください」と言ったのですが、できたものを見て思い切ってやって良かったなと思いました。
――相棒を演じる香川さんは、阿部さんのコミカルな芝居はを絶賛していましたが、ご自身ではどのように感じていますか?
このドラマは元々ウクライナで制作されて世界的に大ヒットしたドラマのリメークですが、原作は結構ヨーロッパテイストで高尚な感じになっているんです。それを見て、「日本のドラマとしてやるのなら、もう少し分かりやすくした方がいい」と思って、こういう形にしています。
嗅ぎ方も、原作では鼻もそれほど動いていないのですが、僕は嗅がれる側が嫌な気分になるくらい嗅いだ方がいいかなと思ってやりました。
もちろん、すべてを過剰にすればいいわけでもなくて、(演技を)どの程度のニュアンスにするか、監督やプロデューサーと綿密に打ち合わせました。特に初回は、びくびくしながらやりましたね(笑)。
――コミカルな芝居を求められることはいかがですか?
僕は背も大きしい、顔もほりが深いし、ただ突っ立っていると冷たい男に見えるんですよ。でも、コミカルな要素を補って、華岡の人間味を出していけば、ドラマが見やすくなるんじゃないかなと思いました。
――香川さんとの共演はいかがでしたか?
先ほども言った通り、僕は当初から慎重にやっていたのですが、香川さんがリハーサルを見て、「これでは足りないな」と思う部分をご自身の演技で補ってくれたんですね。小向達郎という相棒の存在によって、華岡の面白さや人間味が出てくる構図になっていて、感謝しています。
本当に頭の回転が早くて、監督の狙いを瞬間的に計算して演技を足していかれるのですが、映像になった時にそれが実に効いている。僕は、まだそこまではできないので、大いに刺激を受けました。
――NHKの現代劇は久しぶりということですが、今回のオファーを受けた理由を教えてください。
以前からやりたいなと思いながら機会がなかったのですが、今回は連続ドラマということでうれしいです。NHKの大きな器の中で挑んでいけるのは楽しみでした。
それに、演出の堀切園監督は重厚なドラマ作りを得意としているのですが、今回はコミカルさを交えた捜査ドラマ…どんな化学反応になるか、これも楽しみでした。
――現場で印象的だったことはありますか?
驚いたのは、こだわりの強さですね。大河ではなく、1クールのドラマにも、ここまでこだわりがあるということに感心しました。打ち合わせで美術監督にセットの設計図を見せてもらったとき、これは半分冗談だろうと思っていたのですが、本当にでき上がってしまって。こんな場所でやらせてもらえるなんてすごく幸せなことだなと思って、血液が体全体にどんどん流れていくような、そんな感覚が湧き上がりました。
――あらためて出来上がったものを見た感想を教えてください。
ああいう仕上がりになると予想できませんでした。華岡は個人プレーだから、他の人を置いてきぼりにすることも多くて、実は「あの俳優さん、せりふ少ないけど大丈夫かな?」と心配していた部分もあったんです(笑)。でも、いろいろなカットが生きていて、出演者全員のキャラクターが立っていたので、監督には感謝しています。
毎週土曜夜10:00-10:45
NHK総合にて放送中