KADOKAWA Group
2011年3月30日スタート 毎週月曜夜10:25/NHK Eテレ
「老いは文明のスキャンダルである」と語るボーヴォワールの視点から、人類にとって老いとは何かを考える。ボーヴォワールは「老い」の中で、老人は社会から疎外された存在であると説く。本作が書かれた1970年代、消費社会が極まり、生産性のない老人は疎外されたが、それについて全く語られていなかった。
「記録すること」と「記憶すること」が人間にとっていかに大切か、そしてそれをないがしろにする社会がいかに貧しいのかを考える。密告によって自宅の本の焼却に向かうモンターグは、追い詰められて逃走し、ある場所にたどり着く。そこでは人類にとって最後の希望「記憶」のかけがえのなさが描かれている。
登場人物たちの言葉を通して、人間が自発的に思考の自由を手放し、効率化やスピード化に身を任せ、権力に盲従していくことの恐ろしさを考える。焼死した老女を忘れられないモンターグに、隊長・ベイティーは「考えて苦しむくらいなら本など読まない方がまし。私たちは幸福な生活を守っている」とハッパを掛ける。
本を燃やす「ファイヤマン」という仕事に従事する主人公・モンターグは、本と共に焼死することを選んだ老女の姿を見て動揺する。第2回は、「知」や「思考する力」を決して手放さず、命懸けでそれを守ろうとする人たちの姿を通して、人間にとって「知」や「思考」がいかにかけがえのないものかを考察していく。
金閣寺放火を決行した主人公の溝口は、燃える金閣寺を見ながら生きることを決意。第4回は、溝口による金閣寺放火の動機やその行為の意味を明らかにすることで、三島由紀夫が戦後社会に対して何を成そうとしていたのか、また最終的に自決を選んだ理由に迫り、私たちにとっての「戦後」の意味を考える。
主人公・溝口は住職が読む新聞に愛人の芸妓の写真を忍ばせるが、住職の振る舞いは変わらず、黙殺される。その後、初めての女性との行為で快感に達するが、虚無感は消えない。朝鮮戦争勃発の知らせに世界の破滅を予感した溝口は、金閣寺放火を決意。三島由紀夫が直面した戦後社会の矛盾や困難に迫る。
主人公・溝口は、足の障害を利用して女性の関心を集めては関係を持つ友人・柏木に影響を受ける。認識によるニヒリズムこそが人間を解放すると説く柏木に共感する溝口だが、女性と関係を持とうとするたびに金閣が眼前に現れ、行為を阻まれる。そんな溝口を通して、人間は虚無感を超えて生きられるのかを考える。
吃音のある主人公・溝口は「金閣寺ほど美しいものは地上にはない」と父親に教わる。「心象の金閣」の美を膨らませた溝口だが、本物の金閣寺を見て激しく幻滅。しかし、次第に溝口は、戦火によって「滅びゆくもの」として金閣寺に深い一体感を感じる。第1回は、美と劣等感の間で引き裂かれる人間の性に迫る。
「公益」と「私利」などの対極にある価値観を融和し、協調させる渋沢栄一の思考法に迫る。渋沢は、孔子の「論語」を大胆に読み替え、私利追求に資本主義のエンジンとしての役割を認める。一方、「信用」や「公益」といった価値を示す「論語」的な理念も据えることで、「経済合理性」のみの価値観の弱点を取り除こうと考える。
「合本主義」システムを導入しようとした渋沢栄一。この構想の軸となるのは「金融の整備」や「インフラの整備」「産業の担い手になる人材育成」で、ここから学んだ渋沢は、「公益」という目的を達成するため、人材と資本を集め事業を推進する「合本主義」という理念を考案。渋沢が構想した「合本主義」をひもとく。
明治時代、日本人は目先の利益を追うことに狂奔し、商業道徳が荒廃していた。そこで渋沢栄一は「実業と道徳の一致の必要性」を説いた。そこには、西欧の金融機関や株式会社が「信用」を媒介にして回っているという事実から学んだ教訓がある。拝金主義に陥りがちな資本主義の暴走のブレーキとなるものを探る。
若き日の渋沢栄一は、信念が定まらない人間と見られることもあったが、確かな行動原理があったという。「倒幕」や「攘夷」は、強くて繁栄した日本をつくるための手段に過ぎず、だからこそより有効なものが見つかれば、柔軟にそちらに切り替えることができた。柔軟でしなやかな行動原理を生む高い志の大切さを学ぶ。
震災から復興へと思いを巡らすとき、私たちは「考える力」という足元を見つめ直さざるを得ない。哲学者・池田晶子にとって、真の意味で「考える」とは自己の中に眠る「真理」を見いだすこと。私たちは未来をどう思い描けばよいのか、そのとき真に「考える」という営みが何をもたらしてくれるのかを探る。
哲学者のセネカは、死はしばしば前触れなく訪れ、その足音が聞こえてきたとき、人は初めて自分の人生が限られたものであると気付くと記した。多くの人たちは「時」の真価を知らないまま生きている。セネカの思考を通して「生」のはかなさを見つめ、計量できない質的な時間を取り戻すことの大切さを考える。
民俗学者の柳田国男は、東京大空襲のさなかで「死者」について思索した。日本古来の死生観を掘り起こしながら執筆した「先祖の話」では、死者はあの世で暮らすのではなく、死後も生者たちとの新しい関係の中で「生き続ける」と考察している。災害で失った死者と私たちはどう向き合っていけばよいかを考える。
科学者で随筆家でもある寺田寅彦の随筆集「天災と日本人」を紹介。寺田は文明が進歩するほど、災害による被害は甚大になるといい、災害に向き合うには日本人が古来持っている自然観をもう一度見つめ、人間と自然とのつながりを根底から考え直す必要があると主張する。災害という予測不可能な危機にどう向き合い、対処すべきかを探る。
ファノンは人種差別の問題を突き詰める中で、「人間を閉じ込めるものから人間を解き放つこと」という普遍的な問題に到達。人種差別は黒人だけの問題でなく、「いかにして我々は非人間の状態から抜け出して真の意味での『人間』になりうるのか」が問われている。「人間の解放」という普遍的な問題に迫る。
ファノンは、「黒い皮膚への偏見や差別をいかに乗り越えるか」の答えを模索した。そしてたどり着いたのは、自らの中にある黒人性を再評価し、その尊厳性を強調することで白人に対する黒人の優位を示す運動だった。差別を乗り越えるために自らのルーツやアイデンティティーを掘り起こすことの有効性と限界に迫る。
文学作品に描かれる典型的な黒人女性は、白人男性と結婚し血統を白くしようとする。これを「乳白化の願望」と呼び、ゆがんだ心理的防衛機制であるとファノンは分析。同様なことが黒人男性にも生じ、これらは過剰な白人への劣等感から生まれるという。第2回は、差別の構造がなぜ内面化されるのかを探る。
加藤シゲアキ、生徒役の本田望結と共に「父が娘に語る経済の話。」を読み解く<100分de名著>
<100分de名著>制作統括「名著を通じて、この狭い世界が全てではないと感じてほしい」10代向けSPに込めた思いとは
加藤シゲアキが語る、本との劇的な出合い「これは自分だ、と思わされる本に一度でも巡り合えば、読書の魅力が分かるはず」
注目の映画やドラマ、人物を総力特集
結果発表!第121回ザテレビジョンドラマアカデミー賞
随時更新中!【冬ドラマ】2025年1月期の新ドラマまとめ一覧
SNSでバズった話題のマンガが読み放題!ザテレビジョン マンガ部まとめ
「ザテレビジョン」からのプレゼント!
推したい!フレッシュFACE
随時更新中!【秋ドラマ】2024年10月期の新ドラマまとめ一覧
2024年11月24日18:00
※TVer内の画面表示と異なる場合があります。
2024年11月24日 20:00時点