ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第108回ザテレビジョンドラマアカデミー賞ドラマソング賞 受賞インタビュー

Presence/STUTS & 松たか子 with 3exes

この曲がヒップホップの面白さに触れる良い機会になっていたらすごくうれしい

特に審査員、TV記者から多くの票が集まり、本楽曲が最優秀ドラマソング賞に選出されました。受賞のお気持ちをお聞かせください。

本当に光栄です。そもそも自分がドラマの主題歌を作らせてもらう機会があるなんて思ってもいなかったですし、主題歌が毎回変わるっていうこれまでにない枠組みを作ってくださったドラマのプロデューサーの佐野亜裕美さん、脚本の坂元裕二さんをはじめ、皆さんに感謝しています。自分だけの力ではなく、ドラマ全体で受賞させてもらったと思ってます。

劇伴曲をサンプリングして作られたとのことですが、「Presence」を作る際にはどのようなことを意識されましたか?

松(たか子)さんの歌唱パートやラップ部分も含めて、ドラマの内容を踏まえながらも、ドラマを見てない人も楽しめるものにしたいという思いがすごくあったので、それぐらいの抽象度で作ろうとは思ってました。坂東(祐大)さんの劇伴のデモが届いて、2週間ぐらいで4パターンぐらい候補を作って。その中で自分が一番気に入っていて、一番時間をかけたものをブラッシュアップさせて完成させていきました。松さんの歌唱パートのトラック部分は、コード進行も含めてほぼ完成させて、その上にbutajiさんが3パターンくらいメロディーを乗せてくださって。その中から一番サビっぽいなって思うものを、butajiさんと話し合いながら作っていった感じですね。


メインボーカルを務める松さんとはどんなコミュニケーションを取りましたか?

これまでの松さんの楽曲にはないような曲調だったので、最初はどういう感じで歌を乗せてもらうのか悩んだんです。

でも、松さんは曲によって本当にいろんなタイプの歌唱ができる方でもありますし、自分なりに作った楽曲を作っていく中で、今回のドラマのプロデューサーの佐野さんと脚本の坂元裕二さんのタッグで以前作られた「カルテット」のエンディングで流れていたDoughnuts Holeの「おとなの掟」の松さんの歌唱のようなニュアンスで、はっきり日本語を発音するというよりは流れるような感じで歌ってもらいたいですっていう風にお願いしました。あとは、この歌詞のこの部分はなんとなくこういう感情でとか、ふわっとしたお願いをしたくらいで。

レコーディングの時の松さんは歌の表情が本当に素晴らしくて感動しました。やっぱり歌にはその人の感じがすごく出るんだなって改めて実感しましたね。


元夫役の岡田将生さん、角田晃広さん、松田龍平さんのラップにはどんな印象を持ちましたか?

3人の俳優の方々のラップパートのディレクションを担当したのもそれぞれのラッパーさんなので、ラッパーさんの色もすごく出てるんですけど、岡田さんも角田さんも松田さんも声や歌い方に本当にその人の魅力みたいなものがにじみ出てて、ラップって改めて面白い表現だなと思いました。

岡田さんは、リズム感もばっちりでしたし、声の重ね方もすごくラッパー然としているし、フロウがすごく面白くて、あのバージョンに参加したBIMくんと一緒に聴いてすごいテンションがあがったのを覚えてます(笑)。角田さんもリズム感も音程も良くて、あと声量が抜群で、映像の時のジェスチャーも含めてナチュラルに一番ラッパー然としている印象を持ちました。松田さんは、素の状態で自然に話してる感じがそのままラップにつながってる感じで、めちゃくちゃかっこいいなって思いました。ほんと三者三様で素晴らしくて。もちろん松さんもなんですけど、皆さんの魅力がラップだとこうやって表れるんだっていう風に思いましたね。


ドラマのストーリーとリンクして歌詞が変わっていくところを毎回楽しみにしていた視聴者も多かったですが、リリックについてはどんな印象を持ちましたか?

皆さんそれぞれのスタイルで、ドラマの内容を歌詞にうまく落とし込んでくれたり、いろんなオマージュがあったり、本当に素晴らしい歌詞を書いてくださったので、全ラインが印象に残ってるぐらいなんですよね。

フレシノ君(KID FRESINO)は抽象度高めだけど、めちゃくちゃドラマの内容に寄り添ってて。でもドラマを観てない人でもすごく共感できるような歌詞だなと思いました。BIM君は、結構具体的な表現でありながらすごくウィットに富んでいて。「そんなの聞いてないよって興味津々」っていう歌詞があるんですが、BIM君の「Bonita」って曲に「そんなの聞いてないよ」ってフレーズがあるのと、「興味津々」は岡田さんが演じる役名の中村慎森(しんしん)からきてて。そういう風にラインがめちゃくちゃいろんなオマージュにあふれてて本当にすごいなって思いました。

NENEさんはすごくストレートで優しさを感じる歌詞で。Daichi(Yamamoto)君は直接的ではなくてちょっと抽象的なんですけど、そのふわっとした感じが松田龍平さんの実際の雰囲気ともマッチしてるなって思いましたね。T-Pablowさんはすごくストレートなリリックなんですけど、誰でも分かるような言葉ですごく胸に響くようなラップだなって。最終話の担当でもあったので、とてもいい感じに締めてくださったと思いました。


改めて、STUTSさんにとって「Presence」はどのような曲になりましたか?

こういう機会なので今までの自分のカラーとはまた違う曲を作りたいという想いがあったんですが、今まで自分がやってきたことを曲げたところは一切なくて。それでいて、自分がこれまで音楽を作ってきた方法論とか、いろんなことを注ぎ込めた曲になったと思っています。皆さんのお力添えもあっていろんな挑戦ができました。どう受け入れてもらえるか不安もあったんですけど、すごく幅広い人に聞いてもらえる曲になって本当にうれしいです。ヒップホップをあまり知らない人でも楽しめるようなものになったらいいなとも思っていたので、この曲がヒップホップの面白さに触れる良い機会になっていたらすごくうれしいですね。

大豆田とわ子と三人の元夫

大豆田とわ子と三人の元夫

松たか子演じる“バツ3”の独身女性が、3人の元夫たちに振り回されながら日々奮闘するロマンティックコメディー。脚本は坂元裕二が手掛ける。大豆田とわ子(松)は、建設会社の社長に就任したばかりのユーモラスでキュートな女性。そんなとわ子を忘れられない元夫を岡田将生と角田晃広、松田龍平が演じる。

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