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BLUE ENCOUNT、アルバム『Q.E.D』をリリース!「ひとりひとりの戦い方でちゃんと居場所を勝ち取るようにしたい」

2020/11/25 17:00

撮影●富田一也
撮影●富田一也

(横浜アリーナは)目指すところではありますけど、そこがゴールだとは思ってない


――全体的な印象としては、まず「STAY HOPE」で始まり「喝采」で終わるのがグッときたんです。SNSにおける誹謗中傷で痛ましい事件もありましたし、そういった風潮にNOを突きつけながら、確かな未来を共に信じようというエネルギッシュな「STAY HOPE」、自分自身を許したり、肯定して、未来を信じる大切さを歌う「喝采」。その力強いメッセージもそうですが、BLUE ENCOUNT自体にすさまじい生命力があるんだろうなという想像もしました。

田邊 生命力はこの15年で今が一番あると思いますね。

辻村 昔は暗闇の中をかき分けて進んでるようなところもあって。しかも、その先に何があるのか、この行為が合ってるのかも分からないけど、後ろには下がりたくないみたいな。

田邊 でも、今はBLUE ENCOUNTという存在が、屋久島の杉のような、みんなが集まってくれたり、それぞれが抱えてきた何かが浄化されるような場所になればいいなと考えてて。ロックバンドの形はいろいろあるけれど、僕ら4人が好きなバンドや音楽はそういうモノでしたから。

――「STAY HOPE」では「”匿名”な中傷(コトバ) たちはまた命を奪った」、「喝采」では「必ず陽はまた昇る 諦めなかった命の先で」と歌詞で綴っていて。命という言葉をストレートに使われたことに驚きもありました。

田邊 今のBLUE ENCOUNTのマインドが投影されてますね。同じ言葉が出てくることに関しては本能的というか、制作してるときはその曲しか見えないんで、振り返ったときに『この言葉を使ってるな』と気付いたりするぐらいだったりもするんですよ。それに1曲1曲と向き合っていけば言葉を選んでる暇はないなと思ったりもしますね。

――話題になったタイアップ曲も多数収録されています。 TVアニメ「BANANA FISH」のオープニングを飾った「FREEDOM」は、シリアスさをまとった鋭い曲ですね。

江口 作ったときのモチベーションに引っ張られてるところもあるんですけど、逆境に立ち向かう気持ちになる曲ですね。

――『BANANA FISH』は長年愛されている作品ですし、苦労もあったのかなと。 田邉 でも、僕はあの時代のハードボイルドが好きなんでめちゃめちゃ早く完成したんですよ。

江口 これ、めっちゃ早かったよね。

田邊 お話をいただいて、曲を作っていこうと押さえたスタジオの最寄り駅から歩いてる道中の信号待ちのときに浮かびましたから(笑)。

辻村 田邊がもともと持ってる世界観の一つでもあるし、完成するまでも早かったですね。

――BLUE ENCOUNTはタイアップに対する流儀があるともお聞きました。

田邊 流儀というか、礼儀みたいなところだと思うんですけど、第1話や第1巻をしっかり読解する。そこには物語が進んでいくためのヒントやルールがあるから、そこに特化して曲を作ると意外と結末まで絡んでいくんですよ。

――確かに、物語の導入にはそういったモノが必ず存在してますよね。

田邊 そうなんですよ。主題歌って、最終話だけじゃなくて、第1話からずっと流れていきますし。全てを踏まえないと書けないと思うんです。そこは常に気をつけてますね。

――アニメ『僕のヒーローアカデミア』のオープニングテーマでもある「ポラリス」は絶妙な疾走感がありますけど、その勢いで突き進むというよりも、温かく包み込むような印象があります。

田邊 温かさという部分は、ヒーローは守るっていうところがあって。

――『僕のヒーローアカデミア』で描かれるヒーロー像ですね。

田邊 そうですね。ただ、その守るヒーローにも憧れたヒーローがいたわけで。そのヒーローに守られてるっていうのがある。ゼロの状態でヒーローいなった人なんて絶対にいないから、っていう感覚で作りました。

――ドラマ「ボイス 110緊急指令室」の主題歌だった「バッドパラドックス」 はバンドとして新たな境地を切り開くキッカケになったそうですね。

高村 プロデューサーとして玉井(健二)さんが加わることによって、みんなの視野がまた広がったんです。音作りやアレンジ、いろんなことにチャレンジできるキッカケになりました。

――イントロからサスペンスドラマによく似合う緊迫感がありつつも、開放的な浮遊感のあるサビがあって。歌詞も希望を願うけど、不条理な今も受け入れてます。その幅がリアルに寄り添って響いてくれるなと感じました。

田邊 サスペンスドラマであのダンス感ってあんまりないですよね(笑)。そういったことも含めて、アンビバレンツな感じを出したいと思ったんです。

――今年9月にシングルとしてもリリースされた「ユメミグサ」は以前から温めていた曲に新たな息吹がもたらされたんですよね。

江口 ずっと出したいと新作の会議でもずっと話に上がってた曲なんです。ただ、その度にトライしては「何か違うかもな」っていうことになってて。だから、この曲はバージョン違いがたくさんあるんですよ(笑)。そんな中、僕がずっと愛読している住野よる先生の作品が映画化され、その主題歌というお話をいただき、玉井さんの力もお借りして、ようやく自分たちが思い描いた形になりましたね。

――感慨深い1曲になりましたね。

江口 まず「完成して良かった」と思いました。田邊が制作の度にいっぱい曲を作るので、完成せずに死んでいく曲もたくさんあるんです。自分たちのアレンジ力が未熟なのか、そういうタイミングじゃないのか、それは分からないんですけど。だからこそ、出したいと思った曲をしっかりとした形にできたのがうれしいし、自分たちもちゃんと成長したんだなという実感もできますから。

――作品の中盤、「VOLCANO DANCE」と「HAPPY ENDING SONG」の並びは強烈ですね。

江口 「VOLCANO DANCE」は以前からあった曲ではあるんですけど、ここまでぶっこんだアレンジはしてなかったですね。今のBLUE ENCOUNTで取り組んだ結果、これぐらい激しい曲になりました。

――振り切ろうと考えたわけじゃなくて、結果的に振り切れた曲になったという。

田邊 そうですね……というか、そんなことを考えず、とりあえずテンションが上がる曲を作ろうっていうだけでしたから(笑)。歌詞に命とかが意図せず出てくるように、僕らはそんな感覚で曲を作ったり、以前のアイデアを呼び起こしたりしてるんですよ。

――「あなたへ」はしっとりと歌い上げる曲かと思いきや、壮大なスケール感を誇る曲として仕上がってますね。

辻村 この曲は挑戦した感があります。

田邊 僕の中でも初めて作った(アプローチの)曲ですね。その新鮮さもあるし、また一つ開眼した気がしてます。

――会場が大きければ大きいほど、いい響き方をするような予感もします。

辻村 みんなでクラップしながら歌えるようになれば。僕らだけじゃない画が見える、感じられる曲なんですよ。それらが一つのデカいエネルギーになるような、そういう可能性を持ってると思ってますね。

――こういった充実した作品が完成すると、普段ならツアーについてお聞きするんですが、昨今の社会情勢もあり、通常の形では開催できないですよね。現在、来年4月に横浜アリーナでのワンマンが発表されていますが、バンドとしてはそこへ向かっていくような流れでしょうか?

田邊 もちろん(横浜アリーナは)目指すところではありますけど、そこがゴールだとは思ってなくて。今年はイレギュラーなことに対して毅然とした動きを整える為の1年でしたから、来年以降はバンドとしてはもちろん、ひとりひとりの戦い方でちゃんと居場所を勝ち取るようにしたいですね。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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『Q.E.D』 発売中 ソニー・ミュージックレーべルズ 3080円(通常盤)
収録曲●STAY HOME/バッドパラドックス/ポラリス/FREEDOM/棘/VOLCANO DANCEほか全11曲収録
写真左から江口雄也(Gt.)、田邊駿一(Vo.、Gt.)、高村佳秀(Dr.)辻村勇太(Ba.)。熊本県出身の4人組バンド。2014年にメジャーデビュー。以降、アニメやドラマ、映画のタイアップを手掛け、大型フェスに参戦するなど精力的に活動。2021年4/18(日)には初の横浜アリーナ公演「BLUE ENCOUNT LIVE@YOKOHAMA ARENA(仮)」を開催予定

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  • 写真左から江口雄也(Gt.)、田邊駿一(Vo.、Gt.)、高村佳秀(Dr.)辻村勇太(Ba.)
  • 【写真を見る】撮影中もおしゃべりをして仲良しな4人でした
  • アルバム『Q.E.D』をリリースするBLUE ENCOUNT
  • 撮影●富田一也
  • 撮影●富田一也

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