西島秀俊「Y邸はまさにこのドラマの主役のひとつになるもの」
――青瀬の妻・ゆかりを演じる宮沢りえさんのご印象はいかがでしょうか。
宮沢さんは以前、僕があこがれている女優さんという役を演じてくださって、その時は役作りも何も必要ないなという、本当にオーラのある、まさに“スターの宮沢さん”という印象でした。でも今回は、人生経験を積んだひとりの大人の女性の役で、その深い人間の洞察と表現力に驚きながら共演していました。
一緒に演技をしていてとても不思議なのですが宮沢さん、嫌なことをいう時が一番チャーミングに見える方だなと感じました。演技が終わったときに、思わず宮沢さんに「こうやって人間味ってでるんですね」って聞いてしまったくらいです(笑)。
ゆかりは、男性の理想とするような女性なのではないかと思います。そんなゆかりをとても人間らしく、それでいて、台本上の文字で書かれていたときよりも、もっと魅力的に演じてらっしゃって…。ゆかりという役を目の前に、肉体を持った人間として演じるということを当たり前のようにやられていて、本当にすごい方だなと思いました。
――このドラマで重要な舞台であるY邸は、ドラマの撮影のために建てられたと聞きました。実際にご覧になられていかがでしたか?
美術部が本当に素晴らしい家を建てて下さいました。作品を読んだときにY邸をどのように表現するのだろうと、想像したのですが、「きっと似た家を探して、何かしらを加えるのかな?」と思っていました。Y邸はまさにこのドラマの主役のひとつになるものです。なので、いちから建てると聞いて僕もずっと楽しみにしていました。
実際に初めて訪れたときは、「本当に住めるんじゃないかな?」と思いました。そして原作や脚本にあるように、3つのチムニーが象徴的に立っていて、中も完璧に作られていて、窓からは浅間山が絵のように見えるという…。「これは既存の家だったら表現できなかっただろうな」と思いました。
Y邸にて実際にノースライトを浴びたときは、 本当に美しくて…“吸い込まれそうになる”と脚本には書いてあったのですが、撮影中、カメラマンさんが「これ絶対合成だと思われるだろうね」というくらいの光でした。僕が何か想像を足す必要がないくらい、本当に吸い込まれそうなくらいきれいな景色と光でした。演技をする上でも非常に助けられました。
12月12日(土)、12月19日(土)夜9:00-10:13
NHK総合ほかにて放送
原作=横山秀夫『ノースライト』
脚本=大森寿美男
音楽=稲本響
出演=西島秀俊、北村一輝、田中麗奈、伊藤淳史、林泰文 / 寺脇康文、宮沢りえほか
制作統括=佐野元彦(NHKエンタープライズ)、長谷川晴彦(ロボット)、訓覇圭(NHK)
演出=笠浦友愛(NHKエンタープライズ)