「“アジアは一番近くて遠い存在”だと感じていた」
――野田の魅力をどういうところに感じていますか?
基本的にはキザな男なんですけど、ヒールに見えて意外と優しいんですよね。(漫画&アニメの)「キャプテン翼」で言うと、“日向小次郎”的な立ち位置というか。まあ、あそこまでカッコよくはないですが、一匹狼的な部分と優しさを備えて持っている男なので、そういう憎めないところが魅力なのかなと。メリハリの利いた芝居を求められたので、そこは演じていても楽しかったです。
――今回の撮影において、日本映画との違いを感じたところはありましたか?
やっぱり規模が違いますよね。以前、ほんの少しだけハリウッド映画に出演させていただきましたが、中国の撮影はどちらかと言えばハリウッドに近い感じがしました。というのは、基本的には本番まではスタンドインの方が代役をしていて、本番だけ俳優がやるとか、きちんと昼休憩の時間が決まっているとか。出てくるのも温かいケータリングでした。1日の撮影時間がある程度決まっているといのも、ハリウッドのシステムに似ている気がします。
あと、中国での撮影が全部そうなのかはわからないのですが、向こうは基本的に本番前のテストがないんですよね。段取りはスタンドインの方でやるので、僕たち俳優は簡単な説明を受けた後に、いきなり本番。日本では何度もテストを行い、本番は1回だけというのが基本ですが、向こうの撮影はカメラをたくさん回して、とにかくいい素材を集めるという考え方で。それはデジタル撮影だからなのかもしれませんが、慣れるのは大変でした。
――妻夫木さんは2015年にホウ・シャオシェン監督の「黒衣の刺客」(台湾・中国・香港合作)にも出演していますが、妻夫木さんにとってアジア映画への進出はどういった意味を持っているのでしょうか?
30歳を過ぎた頃から、ほかの国の作品に出ることを目標のひとつとしてきました。その上で、僕の中では“アジアは一番近くて遠い存在”だと感じていたところがあって。でも、「ノーボーイズ,ノークライ」(2009年)という日韓合作の映画に参加したときに、「いい映画を作りたい」という同じ志のもとに集まり、一緒に仕事をすることで、簡単に一つになれることを実感したんです。そのときの監督やスタッフとは今でも仲がいいですし、僕は親友だと思っています。そうやってアジアの映画人が力を合わせていけば、映画を通してまた違った歴史を作っていけると僕は信じています。そういう意味でもアジアの映画に参加することは、僕にとって特別なものになっています。
取材・文=馬場英美
7月9日(金)全国公開
出演:ワン・バオチャン リウ・ハオラン 妻夫木聡 トニー・ジャー
長澤まさみ 染谷将太 鈴木保奈美 奥田瑛二 浅野忠信 シャン・ユーシェン 三浦友和
監督・脚本:チェン・スーチェン
提供:Open Culture Entertainment アスミック・エース
配給:アスミック・エース
公式HP:detectivechinatown-movie.asmik-ace.co.jp
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CO.,LTD “DETECTIVE CHINATOWN3”