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うっかり感情移入してしまう…「魔改造の夜」が教えてくれたエンジニアの”本気”

2021/08/25 11:30

「魔改造の夜」第1弾に出演した伊藤沙莉
「魔改造の夜」第1弾に出演した伊藤沙莉 ※2020年ザテレビジョン撮影


「赤ちゃん人形 綱登り」のルールはシンプル。天井から垂れ下がった8mのロープを、赤ちゃん人形に最も速く登らせたチームの勝利である。いけにえとなる赤ちゃん人形は、動力もない普通のお人形で、そのままではロープをつかむことすらできない。嫌な予感がしたのだろうか、ルールには「芽生える優しさと、思いやりをこめること」という一文が付け加えられていた。

Sライズは当初、腕を高速ピストンで動かそうと考えた。まるでポケモンのイシツブテのような、赤ちゃんの頭と巨大な両手が合わさったモンスターが誕生したが、この方式だとロープが激しく揺れてうまく動かない。「ロープが固定されていない」のが、この競技の肝なのだ。Sライズは方向転換し、昆虫のような細長い足をマジックハンドのように動かして登らせる。

Nットーが生み出したモンスターは、イモムシの形をしていた。「絵本『はらぺこあおむし』の着ぐるみを着ている」という設定なのだが、人形を提供したメーカーの女性は渋い顔。しかし、実際に登らせてみると、しゃくとり虫のように足を伸び縮みさせて登る姿はけなげで、会場全員が笑顔に……! 動きで「芽生える優しさと思いやり」が表現されていた。

最後のN産は、「人がロープを登る動き」にこだわった。身体を軸に、手足が扇状に上下する動きを再現し、100以上のパーツを組み合わせたメカボディが完成。頭には、天井にぶつかったときに動きを止める「安全装置」を付けたのだが……1回目の試技でこの安全装置がロープにあたり、途中で動きが止まってしまった。それでもN産は、2回目の試技でスイッチの位置をずらしただけで、機能そのものを外さない。自動車メーカーとして「安全をないがしろにしない」というプライドを見た。さて勝負の行方は……。

「これからもチャレンジしていこうと思います」


今後再放送があるかもしれないので、どのチームが勝ったのか明言はしないが、どのエンジニアも「うちの子」を見つめる目は愛情にあふれていた。拳を握り、声援を送り、その頑張りを讃えた。そして、思うような結果が出なかったチームもあった。うなだれるメンバーに「みんな頑張ったんで、胸を張って帰りたい」と涙声で語りかけながら、そのチームを率いたリーダーは言うのだ。

「チャレンジすることを忘れたら、今後の仕事とかもうまくいかないと思うんで。これからもチャレンジしていこうと思います」

魔改造の夜」の各種目のルールには、最後に「失敗してもかまわない」と記されている。エンジニアリングの歴史は、失敗と成功がいくつも積み重なってできている。生み出されたモンスターも、その1ページであることを「魔改造の夜」は教えてくれる。

宴の夜はやがて明け、エンジニアたちの日々は続く。

文=井上マサキ

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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