岡田将生 舞台、演じることへの思いを語る「気持ちを奮い立たせてくれるものがこの仕事。ずっと役者という仕事に助けられている」<インタビュー>
倉科さんの演技には、ローラに通じる繊細さを感じるので楽しみ
――トムは母のアマンダとぶつかりますが、母と息子の関係性をどのように演じたいと思っていますか?
アマンダと話していると“家を出ていきたい”という気持ちが強くなって、トムが口にするのはいつも不安や愚痴ばかりなんです。口論にならないように、感情の高ぶりを抑えるけれど、どうしても抑えきれずひどい言葉が出てきてしまう。その言い合いの言葉選びも、大胆さと慎重な部分が織り混ざった親子ならではの感じがして、本を読んでいる時からすごく印象的な場面でした。そのシーンは、本番でも常に変化していくと思うので、大切に演じたいなと思っています。
――アマンダを演じる麻実さんの印象はいかがですか?
初めてご一緒させていただきますが、今までとは違う自分を引き出してくださるんじゃないかなと楽しみです。トムとアマンダの関係性と同じように真正面からぶつかっていきたいと思っています。
――倉科さんが演じる姉のローラについてはどう捉えていますか。
登場人物の中では一番共感できるのがローラでした。コンプレックスから自分に自信が持てなくて、ガラスの動物園を作って殻に閉じこもってしまう。でも、母とトムのギクシャクした関係を取り持ってくれているのもローラで、すごく繊細な優しさを持った人物だなと思いました。倉科さんの演技には、ローラに通じる繊細さを感じるので、倉科さんとの共演も楽しみです。
――ジム役の竪山隼太さんとは?
舞台の「ハムレット」でご一緒させていただきました。とても信頼のおける俳優なので、また一緒に舞台に立てることが嬉しいです。今回の共演が決まった時に連絡を取り合って、「ハムレット」と同様に、大変な作品と向き合うなかで知っている人がいてくれて良かったという話をしました(笑)。
――ご自身が演じるトムの最後の決断については、どう感じましたか?
家族を切り捨てられないという思いと、母からの抑圧や家族を養うという現実から抜け出したい欲の狭間で悩んで、結果的には母と姉の元から飛び出してしまうんですけど、僕なりの解釈で言うと、トムはその決断にも後悔していると思うんです。
でも、家族の元に残っても同じ日々の繰り返しで後悔は消えないだろうし…だから正解が分からないんですよね。すごく難しいなと思います。
――岡田さんだったらどうすると思いますか。
どうでしょう…(笑)。でも、僕は飛び出さないかな。そのまま、あの家に居続けるタイプの人間です。
――同じ居場所にいても、何かを変えることは出来るとも思うんですが…。
でも、きっと自分からは変えられないし、変わらないんじゃないかな。そういうふうにイメージすることに落胆する自分もいるんですけど(苦笑)。