梶裕貴「父親に対して、コンプレックスとはまた違う独特の尖った感情を持っていた」
――「キングスマン」シリーズでは毎回ガジェットやアクションシーンが注目されますが、今回は…?
小澤:オックスフォード公があるピンチに立たされて、氷河のような崖にしがみつくシーンがあるんですよ。その時に靴の先に胸元から取り出したナイフをつけて、その靴で氷を上っていくんです。あれはあの時代ならではのガジェットですよね。
アクションシーンでは、ラスプーチンとのアクションがかっこいいですし、お洒落に作られています。ある曲が後ろに流れていて、曲調とアクションがリンクしていく。見ればわかります(笑)。
梶:そうですね! 僕もアクションで言うと、親子の共闘シーンでもあるラスプーチンとの闘いが印象的です。
ガジェットという視点で言うと、過去2作でハリーが持っていたことでお馴染みの"傘"のような立ち位置で登場する、オックスフォード公の"杖"が英国紳士感もあり印象深いですね。
――今作はオックスフォード公とコンラッドの親子関係も大きな見どころですね。
小澤:オックスフォード公はあまり息子に対しての表現が上手ではない人だと思うんです。
もちろん危険なことをしてほしくないけれど、息子の気持ちも大事にしたい。傷つけないように息子を説得したいけど、言葉数が少ないがゆえにそれがうまく伝わらない。そんな葛藤の中で、オックスフォード公なりに最善を尽くすものの、世の習いでそれがコンラッドにとってはちょっとうざかったりする(笑)。
お互いプライドがあって駆け引きをしていくような非常にイギリス的な部分もありつつ、人間くささのある親子の関係性は今作の大きな見どころだと思います。
梶:僕自身、父親に対して、コンプレックスとはまた違う独特の尖った感情を持っていたので…コンラッドの気持ちは、すごくよく理解できます。憧れでありつつ、絶対に負けたくない相手。どこか変に意地を張ってしまう存在なんですよね、父親って。
同時に、大人になった今、父親から息子への愛情や期待というものも想像出来るので…本作は、年齢や立場によって大きく感じ方の変わる作品なのかもなという印象がありますね。