現在、「ダウンタウンDX」「行列のできる法律相談所」 (ともに日本テレビ系)、「ガイアの夜明け」「未来世紀ジパング」(ともにテレビ東京系)、「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」(テレビ朝日系)、「フルタチさん」(フジ系)、「この差って何ですか?」(TBS系)などを担当している放送作家の山名宏和氏。これらのタイトルを見れば分かる通り、彼が手掛ける番組のジャンルは、トークから情報、経済、医学まで実に多彩だ。そんな幅広い活躍を見せる山名氏に、テレビの世界に入ったきっかけや、放送作家として大事にしていること、さらに今のテレビを取り巻く状況などについて、話をうかがった。
この仕事をするようになってからテレビを見るようになったんです
──まずは放送作家を志したきっかけをお聞かせください。
「大学生のころ、芝居を見るのが好きで、自分でもコントみたいなものを書いたりしてたんですが、卒業後は一般企業に就職しました。でもこの仕事は自分には合わないなと思ったときに、レコード会社に入った大学の友人から『放送作家をやってみないか』と勧められて。ちょっとやってみるか、くらいの気持ちで始めたんです、別に志もなく(笑)」
──子供のころからテレビが大好きだった、というわけではない?
「ええ、大学に入ってからは帰宅する時間も遅かったし、まだ家にビデオデッキもなかったので、その時期のバラエティー番組は、ほぼ見ていません。景山民夫さん、高田文夫さんといった方々の存在を通じて、放送作家という職業があるということは知ってましたけど。だから、この仕事をするようになってから勉強のために、いろんなバラエティー番組を見るようになったんです。過去のものも含めて。放送作家の仕事って“こうあるべき”という決まった形があるわけではないので、やっていくうちにだんだん分かってきた、という感じです」
──そんな中、ご自身が作り手として参加したことを初めて実感した番組は?
「テレビ朝日で深夜にやっていた『DABO銀』(’95年)ですね。ディレクターとちゃんとコミュニケーションを取って企画を組み立てていったのは、あの番組が最初じゃないかな。それまでは調べ物みたいな仕事ばかりでしたから。若手の芸人さんたちが自分のやりたいことを持ち寄ってVTRを作るっていう番組で、デビュー間もないココリコとかロンブー(ロンドンブーツ1号2号)も出ていました。スタッフも若くて、僕と同じ新人の作家しかいなかった。そういう環境だったので、自分がやっているという実感がありました」